湯浅政明監督『犬王』アヌシーに先駆け情報公開 松本大洋のキャラ原案も
映画『夜明け告げるルーのうた』やテレビシリーズ「映像研には手を出すな!」などの湯浅政明監督による長編アニメーション映画『犬王』(2021年公開)の制作映像が、本日よりオンラインで開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭2020(日本時間6月15日16:00~30日)で公開される。同映画祭に先駆け、湯浅監督が作品のテーマに触れたコメントや松本大洋によるキャラクター原案など、その内容が一部明らかになった。
本作は、湯浅監督がドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」などの人気脚本家・野木亜紀子、「鉄コン筋クリート」「ピンポン」などの漫画家・松本大洋とタッグを組んだミュージカル・アニメ。南北朝から室町期に活躍し、世阿弥と人気を二分した実在の能楽師・犬王と、盲目の琵琶法師・友魚(ともな)の友情を描く。
アヌシーでは、映画・アニメのプロフェッショナルが集い公開予定の作品の制作過程を紹介するプログラム「Workin Progress」に選出。本日16時より映画祭プログラム内動画で、湯浅監督が本作のテーマである能楽師をポップスターとして描く背景について明かし、制作進行中のアニメーションの一部や設定画、松本大洋によるキャラクター原案を初公開する。
一足先に公開された関係者用のプログラム内動画で、湯浅監督は主人公2人について「犬王は不遇の中にあっても、とことん明るく、自分の生き方を自分で決める存在。友魚は盲目の琵琶法師で耳に聞こえたものから、世界を認識していく。明るくて自分を肯定する力が強い犬王に出会って、心を開き、2人でどんどん人気者になっていく」と解説。「伝統芸能というと難しそうなイメージがありますが、当時大衆に人気があったというのが面白いと感じたので、現代のパンクやハードロック、ヒップホップなど、新しいジャンルのポップミュージックが登場し、人々を熱狂させた瞬間のように、様々な自由な表現も入れながら描きたい」「社会生活の中で、なかなか報われないと感じている人も多くいるのではないかと思いますが、しっかりちゃんとやったものは、どこかで残っていくものだ、というようなテーマをこの映画で伝えられたらと思いますし、こんな人がいたかもしれない、という犬王と友魚の二人の物語は、とても力強いものになりそうだ、という手ごたえを感じています」と作品に込めた思いや意図を語った。
またキャラクター原案については「松本大洋さんらしい流麗な雰囲気を映像でも再現したい」「真っ暗闇の中で音がしたものから次々に画が見えていく様子を映像として表現したい」と話し、テスト映像も披露している。
併せてメインスタッフも発表となり、キャラクターデザイン・作画監督に伊東伸高、美術監督に中村豪希、メインアニメーターに松本憲生。湯浅監督と組んできたクリエイターが集結した。(編集部・石井百合子)