ほんとうにあったUFO調査をドラマ化!BTTF監督が仕掛ける「プロジェクト・ブルーブック」
1952年から1969年にかけて、アメリカ空軍で実際に行ったUFO調査の報告書に基づいて制作されているテレビシリーズが「プロジェクト・ブルーブック」だ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのロバート・ゼメキスが製作総指揮を務める本作は、天文物理学者のJ・アラン・ハイネック博士とマイケル・クイン大尉のコンビが、さまざまなUFO目撃事件に挑む姿を追ったミステリードラマ。新シーズンの日本放送がせまるなか、ハイネック役のエイダン・ギレンとクイン大佐役のマイケル・マラーキーが制作の裏話を語った。
ハイネック博士は、映画『未知との遭遇』のコンサルタントも務めた実在の人物。彼を演じるギレンは、役づくりのために博士の著書や調査資料、事件に関連したビデオも徹底的に調べあげ、博士の息子たちにも会ったという。「ハイネックには知性と好奇心、やる気と、正直で温かみがあり、少しだけミステリアなところがある。いつもそういうことを心に留めて演じているんだ」。
ギレンといえば、大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で演じた、狡猾で野心的な登場人物ピーター・ベイリッシュ役が知られているが、全く違うように見えるハイネック博士役にも、ベイリッシュと共通点があると分析する。「知的で頭の回転が早く、機知に富んでいるところが似ている。僕自身はそうじゃないけど、誰よりも頭がいい人に思えるセリフを(脚本家に)書いてもらって演じられるのは素敵だね」。最初はUFOに懐疑的なハイネックは、調査を通じて徐々にその存在を信じるようになっていく。現実はそこまでシンプルではなく、実際に彼がUFOを信じるようになるまでには、30年近くかかったそうだ。
ハイネックの相棒・クイン大尉は、“プロジェクト・ブルーブック”の初代ディレクターがモデル。空軍の狙いは、彼らの調査を通じて、UFO目撃証言には科学的な根拠がないという結論を導き、真実を隠蔽することにある。そのためクインは、ハイネックと空軍の狭間で、微妙な立場に立たされることになる。
「シーズン1でクインは、ハイネックに偉そうな態度を取ったりもしていた。しかし、同じ体験を通じて友情が生まれ、今は彼と一緒に真実を見つけたいと願っている。でも、クインは空軍に所属しているから、完全にUFOを信じるわけにはわけにはいかないんだよ」(マラーキー)
現実でも、アメリカ海軍のパイロットが不審な飛行物体を撮影した映像をアメリカ国防総省が公開して大きな話題になったが、ギレンは当時「今はパイロットがもっとオープンに(UFO目撃情報を)報告できるようになったと思う」と語っていた。「地球外に生命体がいるという考えは、そんなに突飛なことじゃないと、みんな思うようになってきているんだ。僕だって、この無限の宇宙にほかの生命体がいる可能性は、かなりあるといつも思ってきた」
また、UFO事件以外にもシリーズをぐっと面白くしているのが、ギレンと妻のミミや、彼女の友人スージーらが絡む人間ドラマだ。特に、ミミを演じる女優ローラ・メンネルの演技は、シリーズの成功に大きく貢献している。「ミミは、いつも保護されてきた主婦からもう少し強い女性に進化していて、もっと目的意識を持つようになるの。ある意味、彼女は現代女性になり始めるんだと思う。時代の先を行ってるの。それはクールだわ」とローラ。日本放送を控えるシーズン2には、かの有名な「ロズウェル事件」や「エリア51」も登場。2人もさらに危険な状況に置かれることになるという。
取材当時、バンクーバーのスタジオ内ではクライマックスシーンが撮影されており、巨大な軍艦や潜水艦のセットが組まれていた。最終回の演出を手掛けるロニ・ペリスティア監督は、SFドラマ「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」「バトルスター・ギャラクティカ」のVFXスーパーバイザーを手がけてきたベテランだ。「この番組は、スケールやビジョンの大きさを表現するため、とてもうまく特撮を使っている。僕は特撮の経験が長いから、グリーンスクリーンも怖くない(笑)」と絶賛する。今回もテレビ番組とは思えないクオリティーで制作された本シリーズ。ハイネックとクインは真実にたどりつくことができるのか。シーズン2で、解明されるべき謎はさらに深まっていく。(吉川優子)
海外ドラマ「プロジェクト・ブルーブック S2」はCS放送ヒストリーチャンネルで6月28日(日)21:00より第1話「ロズウェル事件 パート1」放送