シルヴェスター・スタローン、ランボーへの帰還を語る「彼の人生は続いていた」
映画『ロッキー』シリーズと並ぶ人気シリーズの完結編『ランボー ラスト・ブラッド』を発表したシルヴェスター・スタローン。自ら監督した前作『ランボー 最後の戦場』(2008)でランボーを故郷に帰した彼は、なぜ再びランボーを描こうと考えたのか。その理由を語った。
過去4作品にわたって、戦場の記憶に苛まれる孤独なベトナム帰還兵を演じてきたスタローン。そんな彼にとって、ランボーの人生は途切れていなかった。「『最後の戦場』はいい終わり方だったが、その後もランボーの人生は続いていた」というスタローンは「最後の『ランボー』でカットしてしまったんだが、『俺は人生を無駄にした。歩き回って血を流したけど、世界は何も変わらない。人は生き死にを繰り返し、何も変わっていない。戦争が普通のことになっている、残念なことに』という趣旨のセリフがあった。だからこその続編だ」と語る。
本作のランボーは、故郷アリゾナの亡き父親の牧場で暮らしながら、親友の孫娘ガブリエラを、家族として見守る日々を送っている。ようやく訪れた平和な日々。しかし、その娘が人身売買カルテルに拉致されてしまう。「世界に人身売買カルテルというものが存在して、消えた女性たちに、二度と会うことができないといった問題がある。親というものは、娘や息子が自分のもとに帰って来ないことをひどく心配するものだ。世界は危険に満ちているからね。だから、俺は本作のテーマを扱いたいと思った」
「僕が思うに、ランボーは平穏な暮らしを送るため、二度と牧場から出たくないと考えていた。なぜなら、牧場での暮らしはコントロールができるが、一度出てしまえば、そこには制御できない世界があると思っているからだ。でも”娘”は大学に進学しようとしていて、彼にはコントロールがきかない場所に行ってしまう。そこに彼はイラつくし、実際に問題が起こる」
再びランボーが迎える壮絶な運命について、スタローンは「だからこそ、とても悲しくリアルな物語になると思った。ただ俺は、死ぬまでこの判断が正しかったかどうか悩むことになりそうだ」と語る。確かに、怒りにかられたランボーとカルテルのバトルは実に壮絶だ。
その戦いは、『ランボー/怒りの脱出』(1985)以降の大部隊を相手にした戦闘ではなく、1作目を思い出すようなゲリラ戦。その理由をスタローンは「今までランボーは、世界を舞台にベトナムやビルマで戦ってきた。しかし、今回の相手はそうした世界にはいない。故郷のアメリカにやってきて、軍隊でもないカルテルだ。彼らは軍のように組織立っているが、軍服を着ている組織とは違う、全く違う存在だからね」と語った。
「それと、本作がとても個人的な問題を扱っていることも理由だったんだ。これは一人の少女をめぐる話であり、イデオロギーや『最後の戦場』のような、虐殺に苦しむ人々を救うといった話でもない、本当に個人的な話だ。現代はランボーの故郷でこそ戦争が起きているんだ。俺は、そこにとても興味をそそられたんだよ」。(編集部・入倉功一)
映画『ランボー ラスト・ブラッド』は全国公開中