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エマ・ワトソンの輝かしい!キャリアを振り返る映画8選

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Pascal Le Segretain / Getty Images

 11歳の時に映画『ハリー・ポッターと賢者の石』の勇敢で賢い少女ハーマイオニー役でデビューし、シリーズ終了後も女優として着実に成長を続けているエマ・ワトソン(30)。さらに、私生活では名門ブラウン大学を卒業し、最近では女性の地位向上のためにも尽力するなど、公私共に知的で聡明なイメージを確立してきた。今回は最新作『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が公開された彼女の輝かしいキャリアを8本の映画で振り返ってみよう。(なかざわひでゆき)

【写真】美少女から美女へ!エマ・ワトソンの成長

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)

エマ・ワトソン
Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

 『ゼロ・グラビティ』と『ROMA/ローマ』でアカデミー賞監督賞に輝く巨匠アルフォンソ・キュアロンが手掛けたシリーズ第3弾。牢獄アズカバンから脱走した囚人にハリーが狙われ、やがて彼の両親の死にまつわる真相が明かされる。シリーズ全編を通して親友ハリーの苦境を助け、勇気と機転によって数々のピンチを切り抜けてきたハーマイオニーだが、その強さと頼もしい成長ぶりを如実に感じさせたのが本作。

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 いじめっ子マルフォイに痛烈なパンチをお見舞いしてハリーやロンを驚かせ、さらにはいくつもの命を救うため逆転時計(タイムターナー)を使い、ハリーを連れて過去へとタイムスリップ。我が身を盾にしてハリーとロンを守ろうとするシーンもカッコいい。公開当時14歳のエマ自身も大人っぽい表情を見せるようになり、マスコミからもその確かな演技力が高く評価された。

『ウォールフラワー』(2012)

エマ・ワトソン
Summit Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

 作家スティーブン・チョボスキーの半自伝的なヤング・アダルト小説を、著者自らがメガホンを取って映画化した繊細で瑞々しい青春ドラマ。心に深い傷を負った孤独な高校生チャーリー(ローガン・ラーマン)を主人公に、ドラッグやセックス、虐待など若者を取り巻く様々な問題があぶり出される。エマが演じているのは、ちょっと危険な魅力のある上級生サム。義理の兄パトリック(エズラ・ミラー)といつも一緒で仲が良く、学校で友達のいない新入生のチャーリーを友達グループに引き入れる。

 クールでお洒落で自由奔放、それでいて思いやりのある心優しい女の子。初心で内気な年下の少年チャーリーが憧れるのも大いに納得だ。本作でショートカットにイメチェンしたエマは、そんなしっかり者の美少女サムを爽やかに演じて好感度が高く、青春の苦悩と痛みを描いた物語に希望の光をもたらしてくれる。

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『ブリングリング』(2013)

エマ・ワトソン
A24 / Photofest / ゲッティ イメージズ

 アメリカ西海岸で実際に起きた事件を、ソフィア・コッポラ監督が映画化した異色の青春犯罪ドラマ。高級住宅街に暮らす富裕層の恵まれた少年少女グループが、イタズラ感覚で次々とハリウッドセレブの留守宅に忍び込んでは高級ブランド品を盗んでいく。罪の意識も計画性もなく、それどころか平然と戦利品をSNSにアップし、つかの間のセレブ気分に浸るティーンたち。彼らが最大の価値を置くのは、ネット上で羨望の的になること。そんな、ある種の現代病に独自の視点で斬り込んだ問題作だ。

 エマが演じるのはティーン窃盗団の一人ニッキー。大人の前ではお利口さんを演じているが、実はメンバーの中で最も自己顕示欲が強く、いろいろな意味で手癖の悪い少女。『ハリポタ』シリーズでの優等生的なイメージを逆手に取った、エマのずる賢くて生意気な美少女ぶりはむしろ痛快だ。

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『ノア 約束の舟』(2014)

エマ・ワトソン
Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 旧約聖書に出てくる有名な逸話「ノアの箱舟」を、『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督が独自の解釈で描いたスペクタクル大作。堕落した人間社会を滅ぼして創り直すという神の啓示を受けた男ノア(ラッセル・クロウ)が、来るべき大洪水に備えて自分の家族と動物たちを乗せる箱舟を作るものの、同時に神から与えられた残酷な使命に苦悩することとなる。

 そのノアにかつて命を助けられ、養女として育てられた女性イラを演じるのがエマ・ワトソン。印象としては控えめな存在であるものの、しかし実は作品の根源的なメッセージを託された重要な役柄であり、ラッセル・クロウにジェニファー・コネリーという、2大オスカー俳優を相手に堂々と渡り合うエマの姿に、女優としての大きな成長を感じる。『ウォールフラワー』のローガン・ラーマンとの再共演も要注目だ。

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『コロニア』(2015)

エマ・ワトソン
Screen Media Films / Photofest / ゲッティ イメージズ

 1973年に南米チリで起きた軍事クーデーターを背景に、独裁者ピノチェト大統領が作った実在の拷問施設「コロニア・ディグニダ」の恐怖を描いたポリティカル・サスペンス。たまたまクーデーターに巻き込まれた西ドイツのジャーナリスト、ダニエル(ダニエル・ブリュール)が秘密警察に拉致され、エマ・ワトソン演じる恋人レナがその行方を捜したところ、コロニア・ディグニダへとたどり着く。

 そこは、まるでカルト教団のように恐怖支配されたコミュニティーで、レナはダニエルを救出するために単独で潜入することになる。といっても、彼女はスパイでもなんでもない、ただの国際線旅客機CA。そんなヒロインが軍事独裁政権の敷かれた異国の地で、ただひたすら愛する人を助けたいという一心で危険に飛び込んでいく。強くて賢くて勇敢な女性を演じるエマがひときわ輝いて見える。

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『美女と野獣』(2017)

エマ・ワトソン
Walt Disney Studios Motion Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 これまでに数えきれないほど映画化されてきたフランスの童話「美女と野獣」だが、これは大ヒットしたディズニーアニメ版を実写リメイクした作品。魔女の呪いによって醜い野獣へ変えられた王子(ダン・スティーヴンス)が、純粋な心を持つ村娘ベル(エマ・ワトソン)の愛情によって救われる。エレガントでロマンティックなおとぎ話のヒロインを演じるエマの魅力的なこと! しかも、演じるベルは教養豊かで自立心が旺盛で、人間の外見よりも内面の美しさに価値を見出す聡明な女性。現代のフェミニストにも通じるような、確固たる強い意志の持ち主だ。

 まさしく女優エマ・ワトソンのイメージそのもののハマり役。『ハリポタ』シリーズが終了して以降も、良きにつけ悪しきにつけハーマイオニー役の影が付きまとっていたエマだが、この作品でようやく脱皮することに成功したと言えるだろう。

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『ザ・サークル』(2017)

エマ・ワトソン
STX Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

 憧れのIT企業「ザ・サークル」に就職した若い女性(エマ・ワトソン)が、全ての人々の個人情報を透明化することで汚職や犯罪が防げるというカリスマ経営者(トム・ハンクス)の主張に心酔し、その理念を実現した新サービスの実験モデルとなるのだが、やがて思いがけない事態が引き起こされてしまう。SNS時代のプライバシーと承認欲求にまつわる様々な問題を浮き彫りにし、テクノロジーの進化や極端な理想主義に傾倒することの危険性を描いたサスペンス・スリラー。

 問題提起という点では掘り下げが足りないようにも感じるが、しかしまるでカルト宗教の教祖と信者のような主人公2人の関係性が興味深く、天下のベテラン名優トム・ハンクスを相手に全く引けを取らないエマの熱演も見応えがある。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)

エマ・ワトソン

 女流作家ルイザ・メイ・オルコットの不朽の名作「若草物語」を、『レディ・バード』で大絶賛されたグレタ・ガーウィグが映画化。過去の映画版もいずれ劣らぬ名作ぞろいだったが、150年以上も前に書かれた原作のフェミニズム精神を際立たせた本作は、#MeTooやタイムズ・アップ運動によって改めて女性の地位向上が叫ばれる21世紀の現代に相応しい作品だ。

エマ・ワトソン

 エマ演じる長女メグは、若くして結婚して母親になることを選んだ女性。男社会の理不尽に毅然と立ち向かう次女ジョー(シアーシャ・ローナン)や、女性を武器に賢く立ち回ろうとする野心的な四女エイミー(フローレンス・ピュー)などに比べると、4姉妹の中で最も伝統的な価値観の持ち主だが、しかし必ずしも質実剛健な慎ましい結婚生活に満足しているわけではなく、胸の内に秘めた贅沢への憧れを捨てきれず、その罪の意識に苦しむ。そんな彼女が真に大切なものに気付き、自らの生き方を肯定していく姿を力強く演じるエマが素晴らしい。今年で30歳を迎えた彼女の、大人の女優としての貫禄と深みが感じられるはずだ。

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