今井翼、ファンのおかげ 充実感に満ちたいま
映画『プラド美術館 驚異のコレクション』(公開中)で日本語吹替版ナビゲーターをつとめる今井翼が、これまでの芸能活動や休養期間について振り返り、ファンへの想いや充実感に満ちた“いま”を語った。
本作はスペイン・プラド美術館の魅力を紹介するドキュメンタリー。スペインとその文化にゆかりが深く、2012年にはスペイン文化特使に就任した今井翼が、スペインの芸術を伝える大役を任された。これまで積み上げた経験が今回の仕事につながったことについて「おかげさまです。僕自身がフラメンコに出会ったのも、いろんな方々の理解と協力があったからこそ」と周囲への感謝を忘れない。
今井は好きなことがずっと変わらず、熱をもって取り組むというある意味、オタク的なところがある。「好きなクラブチームとか球団とか、画家とか国とか、食べ物とか。逆にいうと偏るんでしょうけど」と自分を分析する。大洋ホエールズ時代からの横浜ベイスターズファン。フラメンコを極めるべく20代で単身、スペインへ。好きなものにはとことん一途に、それが今井翼のスタイルだ。
メニエール病の治療に専念するため、約1年にわたり休養。本格的に活動を再開し、メディア露出も増えるなか「自分のペースを大切に」というファンの声援は今井に届いているようだ。「そういう意見をいただいていることは僕自身もすごく感じてます」とファンのことに話が及ぶと、優しい声で何度も相槌を打った。身体を第一にと願いながらも、やはり今井の姿を、活躍を見たい……そんなファンの想いは、今井自身にしっかりと伝わっているようだ。「ありがたいですね」と、何度も口にした。
「これまでの自分自身の芸能生活、仲間であったり、いろんな支えがあって、なおかつファンの応援というものがあって」と言葉を紡ぐ。休養していた1年間、まずは身体を整えることを第一に過ごしてきたというが「とにかく、こうやって待ってくださっている方々がいるっていうのは、うーん……すごく当たり前ではない。うん。すごくありがたいことなので。だから、再び、お仕事をさせていただくとすごく充実感もある。なんだろうな……プライベートでも緩急がついて。よりフレキシブルにやっていきたい」
もちろん休養中には、葛藤がなかったわけではない。「去年の1年間っていうのは『動きたーい!』『でも身体をちゃんとしないと』とか、いろんな感情があったけど。いま思えば、すごい自分自身にとっては大事な期間だったと思っているので。だからこれから先も『その期間があって、いまがあるんだ』というふうに思い続けられるように、とにかく身体を第一に、資本として、それこそ生涯現役でやっていきたいですね」
プライベートでは、さまざまな場所に足を運んでいる。「基本的に旅が好きなので。日本全国、魅力的な街ってたくさんある。海外でいうとスペインもそうですが、僕にとってはニューヨークも大事な場所」と昨年の暮れにもひとり、現地へ勉強に行ってきたという。行く先々で出会うもの、経験することのすべてが、今井の表現を高める原動力となっている。(取材・文:新亜希子)