ハリウッドでもっとも輝く女優!エル・ファニングに恋する映画7選
今もっともハリウッドで輝いている女優は誰か? そう聞かれたなら、エル・ファニング! と迷わず答えたい。『マレフィセント2』『ティーンスピリット』と近年、出演作の日本公開が相次ぎ、名匠ウディ・アレンと組んだロマンチック・コメディー『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』も公開中。恋人とともにNYにやってきた、映画を愛する地方の女子大生にふんした彼女は清楚と純朴、背伸びと冒険心を体現して、見る者のハートを大いにときめかせる。現在22歳のファニングだが、芸歴はすでに20年! そんな彼女に思わず恋してしまいそうになる、必見の7作品を振り返る。(相馬学)
『SUPER 8/スーパーエイト』(2011)
ヒットメーカー、スティーヴン・スピルバーグが製作を務め、その1980年代の作品を浴びるように観てきたJ・J・エイブラムス監督が彼のジュヴナイル・ムービーにオマージュを捧げたSFファンタジー。エイリアン騒動に巻き込まれた子どもたちのドラマは『E.T.』等のスピルバーグ作品と同様にスリリングで、胸をときめかせる。何より、キュンとさせられるのは、エルふんするヒロイン、アリスのまぶしさだ。彼女は公開当時13歳だったが、共演する同世代の子役たちに比べて見た目が大人びており、ほのかな色香やはかなげな存在感が劇中のローティーンのハートをくすぐるのも納得がいく。ちなみに、エイブラムス監督は彼女と主人公の少年の間に芽生えるほのかなロマンスを、「ロミオとジュリエット」を意識して作り出したとのこと。13歳にして、エルはラブストーリーのヒロインだったのだ!
『マレフィセント』(2014)
ディズニー・アニメーションのクラシック『眠れる森の美女』を、ヴィランの魔女マレフィセントの視点から描いた実写ファンタジー。アンジェリーナ・ジョリーが演じたマレフィセントの悪女ぶりが話題なったが、本来の主役であるオーロラ姫にふんしたエルも存在感では負けてはいない。怨みと復讐心に憑かれたダークサイドのマレフィセントに対して、このプリンセスはどこまでも天真爛漫なブライトサイド。眠りの呪いをかけたマレフィセントを憎むべきところだが、彼女との絆を信じて突き進む、そんな純真さに説得力を与えているのは、まばゆいばかりのエルの笑顔だ。まっすぐな生き方を体現した、当時16歳(公開時)のエルに心を奪われること必至。プリンスとのロイヤルウエディングにも発展する続編『マレフィセント2』と併せて楽しみたい。
『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015)
女の子の体で生まれてしまった男の子が、専門の治療を受けて身も心も男になろうとする、その過程を家族とのふれあいを通して描いたトランスジェンダー・ストーリー。この難役を務めたのがエルで、役柄的にシャツ&パンツのボーイッシュなスタイルを貫く。ベリーショートのヘアスタイルがよく似合い、やはりチャーミングに見えてしまうのは彼女の個性ゆえだろう。デリケートな題材に臆することなく、レズビアンの祖母にふんしたスーザン・サランドンや、シングルマザーの母を演じるナオミ・ワッツといったベテランの演技派女優たちに堂々と渡り合ったのだから、お見事。ひとりの人間の心の動きを体現したリアルな演技も素晴らしく、困難な道を歩く主人公を応援したくなる。エル本人も、もっとも気に入っていると公言する意欲作。
『ネオン・デーモン』(2016)
『ドライヴ』で世界的な評価を得たデンマークの鬼才ニコラス・ウィンディング・レフンがファッション業界を題材にとり、そこに巣食う狂気をバイオレントに描き上げた衝撃作。トップモデルになるためにロサンゼルスに上京した16歳の少女が、欲望渦巻くファッション業界で頂点へと駆け上がるも、やがて凄惨な悲劇に見舞われる。このヒロインにふんするのがエルで、最初は田舎娘だった女の子がファッショナブルに変わっていき、ついには悪魔的なまでのチャームを発揮するようになる、そんな変ぼうを体現。ホラー映画を思わせる血みどろの描写にも体当たりで挑んだのだから驚かされる。ストーカー的な役にふんしたキアヌ・リーヴスとの共演も見どころとなった。ちなみに撮影時のエルは、まだ17歳。この年齢にして、この魔性。恐るべし!
『パーティで女の子に話しかけるには』(2017)
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』などではみ出し者に温かいまなざしを注いだ異才ジョン・キャメロン・ミッチェルが、ニール・ゲイマンの短編小説に基づいて手掛けた青春ファンタジー。パンクロックの人気が若者たちの間で高まった1977年のロンドン郊外を舞台に、さえないパンク少年と、風変わりな女の子のロマンスをユーモラスに描く。後者を演じるのがエルなのだが、風変わりなのはごもっともで、その正体はなんとエイリアン! パンクに興味津々で、時にトンチンカンな発言しつつ、地球の男の子と心を通わせる“不思議ちゃん”的なキャラクターがコケティッシュに映える。洋服の古着風の着こなしやパンクファッション、カルト集団のような異星のコスチュームと、変化するファッションもキュート。ライブハウスのステージで聴かせる、オリジナルのパンクソングの熱唱シーンも見どころだ。
『ガルヴェストン』(2018)
ニック・ピゾラットの小説「逃亡のガルヴェストン」を、『イングロリアス・バスターズ』のフランス人アクトレスで演出家としても活躍するメラニー・ロランが監督を務めて映画化したクライム・ストーリー。余命わずかであることを知った殺し屋が非情な組織に反旗を翻し、囚われていた少女を助け出して、先の見えない逃避行を繰り広げる。この囚われの少女にふんしたのがエル。孤独をつのらせる家出娘で、体を売って暮らしているという薄幸設定は彼女には珍しい汚れ役ともいえるが、二十歳になって大人の女優へと成長した姿を見せてくれるのは嬉しいところ。劇中ではまばゆいビキニ姿をも披露して、存在感をきっちりアピールする。主人公の殺し屋を演じた演技派ベン・フォスターは、そんな彼女を「僕のベストの演技を引き出してくれた理想的な共演者」と絶賛。
『最高に素晴らしいこと』(2020)
現時点でのエルの最新の主演作は、ジェニファー・ニーヴンの小説「僕の心がずっと求めていた最高に素晴らしいこと」を映画化したNetflixの青春ドラマ。姉を車の交通事故で亡くして以来、自分だけが生き残ってしまったことに後悔の念を抱き、心を閉ざしてしまった高校生の女の子。そんな彼女が、変人呼ばわりされている人懐っこいクラスの男子と出会ったことで少しずつ変わっていくが、彼もまた心の闇を抱えていた……。精神的な問題を抱えた少女を演じることがエルには多いが、本作のヒロインも同様。うつむきがちで、話しかけられると表情が軽くこわばる、そんな繊細な演技は彼女の本領。そこからの笑顔への変化も印象的で、どんどんチャーミングに見えてくるのが味だ。共演者である『名探偵ピカチュウ』のジャスティス・スミスとの相性も抜群によく、フレッシュな印象を与える。