『劇場』も話題!松岡茉優の魅力が炸裂する映画5選
現在、公開中・配信中の映画『劇場』で、劇作家を目指す主人公の永田(山崎賢人)を必死に支えようとする恋人・沙希を演じている松岡茉優。監督を務めた行定勲も「天才」と絶賛する演技力が全編で発揮されている。今や実力派女優の代表格といえる松岡の魅力を堪能できる出演映画を振り返ってみたい。(編集部・大内啓輔)
『勝手にふるえてろ』(2017)
綿矢りさによる同名の恋愛小説をオムニバス映画『放課後ロスト』の一編でも松岡とタッグを組んだ大九明子監督が映画化。松岡は中学時代の初恋相手を忘れられず、脳内で妄想が暴走する24歳のOL・ヨシカというクセの強いキャラクターを好演している。絶滅生物について熱弁をふるったり、職場の同期に告白されて喜びを爆発させたりするヨシカ。松岡による圧巻のセリフまわしとコメディエンヌぶりには目を見張るほど。現実とファンタジーが入り混じったような独特の世界で、女優・松岡茉優の魅力が凝縮された一作だ。
『万引き家族』(2018)
家族ぐるみで軽犯罪に手を染めながら、祖母の年金を頼りに暮らす一家の物語を描き、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた是枝裕和監督作。松岡が演じたのは、治(リリー・フランキー)、信代(安藤サクラ)、初枝(樹木希林)たちと貧しくも笑顔で生きる亜紀。信代の妹である彼女は風俗店に勤務しており、“4番さん”と呼ぶ常連客(池松壮亮)と共鳴するものを感じるなど、複雑な感情を内面に秘める女性を巧みに表現した。また、白石和彌監督が血縁家族の再生を描いた『ひとよ』では、母の起こした事件で夢を諦めた長女を情感たっぷりに演じている。
『ちはやふる -下の句-』(2016)
競技かるたを題材にした末次由紀の人気コミックを広瀬すず主演で映画化した話題作。松岡は主人公である千早(広瀬)の前にライバルとして立ちはだかる、史上最年少でクイーンとなった若宮詩暢を演じた。他を寄せ付けず、雰囲気を一変させる圧倒的なオーラを放つクイーンを見事に体現し、物語に説得力を与えている。繰り出される毒気のある京都弁や、個性的なキャラクターグッズが大好きという意外な一面にも注目だ。2年後を描く『ちはやふる -結び-』でも衰えぬ存在感を発揮している。
『蜜蜂と遠雷』(2019)
原作は、直木賞と本屋大賞を同時受賞した恩田陸の同名小説。若手ピアニストの登竜門とされる国際ピアノコンクールを舞台に、4人のピアニストたちの葛藤と成長が描かれる。松岡はかつて天才少女と呼ばれるも、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた亜夜を演じた。孤独や恐怖、戸惑い、不安を抱えながら、再び自分の音を探しにコンクールに挑む亜夜を繊細な演技で表現。亜夜は決してセリフの多くない役どころだが、言葉に頼らない表現力が光る、松岡の面目躍如ともいえる作品だ。
『リトル・フォレスト 夏・秋』(2014)、『リトル・フォレスト 冬・春』(2015)
若手実力派キャストが集結した『桐島、部活やめるってよ』や、社会現象ともなった連続テレビ小説「あまちゃん」に続く、橋本愛との共演作。五十嵐大介の人気コミックをもとに、都会暮らしになじめず故郷の山村に帰ってきたいち子(橋本)が自給自足の生活を送る姿が描かれる。松岡ふんするキッコはいち子と幼なじみで、お互いに思ったことを本音でぶつけ合う親友という役どころ。それまでの2作では見ることのできなかったような、仲睦まじい親友同士を演じる二人の等身大の演技には胸を打たれる。