木村拓哉の「色気のある声」が決め手!映画ドラえもんで大人の魅力
木村拓哉が『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(公開中)で約10年ぶりに映画で声優を務める。謎の男・ジル役を担った木村の起用理由について、今井一暁監督が語った。
『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018)でシリーズ最大のヒットを飛ばした今井監督と、脚本の川村元気が再びタッグを組んだ本作は、双子の恐竜であるキューとミューの仲間を探すため、のび太たちが奮闘する物語が展開する。木村が猿の姿をした謎の男・ジル、渡辺直美がジルと通信する怪しい女・ナタリーの声優を担う。
監督は、ジルについて「かっこいい大人に見せたかった」といい、「藤子・F・不二雄さんの世界観にはいないような、ちょっと複雑でわかりにくいキャラクターにしたかった。悪役っぽいけれど色気がある声がいい」と考えたそうだ。そこで名前が挙がったのは木村。オファーすることとなったが「まさか木村さんが引き受けてくれるとは思っていなかったんですけど(笑)」という。
木村には、事前にシナリオとキャラクターのルック、そして人物像を説明した文章を送り、アフレコの当日にも「実はジルは、少年っぽい一途さがある。悪ぶったり、エキセントリックにも見えるのは、そのウラ返し」と監督から説明した。それを聞いた木村は、役について納得した様子を見せ、アフレコに挑んだそうだ。
木村が初めてジルの声を当てるのを聞いたとき、監督は「うわ~かっけぇ!(笑)。やっぱりいい声だなぁ」と感じたそうで、「キャラづくりに関してもしっかりとしてきてくれて。木村さんにやってもらってよかった!」と笑顔を見せる。
ナタリー役の渡辺は、「声も印象的で、お茶の間にすごく人気がある。子どもたちも渡辺さんが出てくれたら楽しいんじゃないか」とキャスティング理由を述べる。アフレコで声を聞いたとき「あぁ、こうなるんだ。すごい良い」と改めて起用してよかったと確信したそうだ。
ジルもナタリーもそうだが、今井監督の作品には「ザ・悪役」といったキャラクターが登場しない。「『のび太の宝島』も含めですが、わかりやすい悪役を出したくないんです。善か悪のどちらかしかないというのは、ちょっとピンとこない」と持論を述べる。「神対悪魔みたいなことまでいかないと、『悪役』っていうのは難しいんじゃないかな」
その一方で、「いろいろな『ドラえもん』があっていい。別の監督が作ったときは全然違う『ドラえもん』になる。ふり幅が大きいほうが面白んじゃないかな」と「『ドラえもん』はこうあるべき」と決めつけることはしない。「悪を倒す作品も観たい」と思いを馳せていた。(編集部・梅山富美子)