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『2分の1の魔法』“下半身しかないお父さん”の感情をどう表現した?

主人公イアン、兄のバーリー、そして“下半身しかないお父さん”
主人公イアン、兄のバーリー、そして“下半身しかないお父さん” - (C) 2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 ディズニー&ピクサー新作映画『2分の1の魔法』は、自分が生まれる前に亡くなった父に「一度でいいから会いたい」と願う内気な主人公イアンが、初めての魔法に失敗して“半分”だけの姿で父をよみがえらせてしまったことから始まる物語。イアンは魔法オタクの陽気な兄バーリー、そして“下半身しかない父”と共に、父を完全体にするための魔法を求めて壮大な冒険に繰り出すことになる。重要な登場人物であるのにもかかわらず、“下半身しかない”お父さんをどう表現していったのか、ディレクティング・アニメーターのアリソン・ラトランドが明かした。

【画像】下半身だけのお父さん

 ディレクティング・アニメーターの仕事は、キャラクターを動かして演技をさせること。本作において特に難しかったのがお父さんの表現だったといい、ラトランドは「顔がないキャラクターに、わたしたちは命を吹き込まないといけなかったのです。ズボンだけでも感情表現はできるものなのでしょうか? わたしたちは面白かったり、誠実だったりすることがわかるパパの動きを開発していかなければいけませんでした」と振り返る。

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 そこで、監督のダン・スキャンロン自ら上半身に緑のタイツをまとい、グリーンスクリーンを使って“ズボンだけ”の動きがどう見えるのかの研究から始めた。「どんな風に動くのか、引っ張られたらどうなるのか? また、借り物の上半身をくっつけられた時、ズボンはどう動くのか? ハイタッチする時はどうなるのか? そういうことをいろいろ試しました」とラトランド。『メリー・ポピンズ』のバート役などで知られる俳優ディック・ヴァン・ダイクのコミカルな動きも参考に、個性的なお父さんを作り上げていった。

 映画の中で多くのユーモアを提供しているお父さんだが、何よりも大事だったのが、下半身だけでイアンやバーリーとコミュニケーションが取れるということだ。「パパは(目や耳がないので)見ることも聞くこともできませんが、触れることはできます。なので、足の動きは関係性を見せる上で、とても大事になりました」。自身も幼くして父を亡くしたスキャンロン監督が特にこだわっていたというお父さんが初めてイアンに“会う”場面は、ラトランドたちにとっても腕の見せ所。徹底的な動きの研究の末、足のちょっとした動きからお父さんの戸惑いや愛情がひしひしと伝わってくる名シーンとなった。

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 プロデューサーのコーリー・レイは「彼には上半身がなかったので、わたしたちは過剰な演技や大きな動きを持たせないといけないだろうと最初は考えていました。でも、実際は真逆だったんです。つま先のタップ、足を組むこと、膝の動きといった微妙な小さな動きの方がずっと効果的でした。その方が観客をキャラクターに引きつけることになったんです」と総括していた。(編集部・市川遥)

映画『2分の1の魔法』は8月21日より全国公開

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