バイアコム元会長サムナー・レッドストーン氏、97歳で死去 一大メディア帝国築く
米メディア企業バイアコム(現バイアコムCBS)を通じて、パラマウント・ピクチャーズの親会社であるパラマウント・コミュニケーションズや、アメリカの3大ネットワーク・CBSを買収して一大メディア帝国を築いたサムナー・レッドストーン氏が死去したとナショナル・アミューズメンツが発表した。97歳だった。
レッドストーン氏は、1923年にマサチューセッツ州ボストンのユダヤ人家庭に生まれた。ハーバード大学を卒業後、日本語に堪能だった彼は第2次世界大戦中に、米軍で日本軍の暗号を解読するチームのメンバーになった。従軍を経てワシントンで仕事をしながら、ハーバード大学ロースクールで学んた後、米国司法長官トム・C・クラーク氏のアシスタントとして、アメリカ合衆国司法省税務課でも働いた。
1954年には弁護士として父親が経営していた映画館チェーン、ナショナル・アミューズメンツに加わった。1967年には同映画館チェーンの社長・CEO(最高経営責任者)に就任。会社が成長するにつれ、配給機構よりもコンテンツの重要性を訴え、ハリウッドのスタジオに投資を始めるが、1979年にボストンのコプリー・プラザ・ホテルで火災に巻き込まれて重傷を負い、計60時間、5度の手術によって死の淵から生還した。
その後、1987年バイアコム社を買収して、エンターテイメントのソフトウェア産業に参入。1987年~2006年までバイアコム会長を務める間に、1994年にはパラマウント・ピクチャーズの親会社パラマウント・コミュニケーションズ社を買収。買収後からパラマウント・ピクチャーズは、映画『プライベート・ライアン』『タイタニック』などのヒット作や、『フォレスト・ガンプ/一期一会』『ブレイブハート』などアカデミー賞作品賞に選ばれた作品を生み出した。世界のメディア王に君臨しながら、1999年には米国三大ネットワークの一つ、CBSを買収した。私生活では1947年に結婚し、3人の子供を設け1999年に離婚。その後再婚し、2009年に離婚が成立していた。(細木信宏/Nobuhiro Hosoki)