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『糸』菅田将暉らキャストが歌う中島みゆきの名曲 選曲の理由は?

『糸』で「ファイト!」を歌唱する香(榮倉奈々)
『糸』で「ファイト!」を歌唱する香(榮倉奈々)

 菅田将暉小松菜奈がダブル主演を務める映画『』(公開中)には、作品のモチーフとなった「糸」のほか中島みゆきの名曲が登場しているが、とりわけ「ファイト!」は榮倉奈々成田凌、2人のキャストが熱唱する重要なシーンとなっている。選曲の理由を、本作の原案・企画プロデュースを務めた平野隆に聞いた。

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 本作は、シンガーソングライターの中島が35枚目のシングル曲として平成10年にリリースした同名曲に基づくストーリー。糸を人に見立てて出逢いの奇跡と絆の大切さを歌った楽曲で、もともとは知人の結婚を祝して制作したものだという。テレビドラマやCMなどで起用され、これまで120組を超えるカバー・バージョンが発表されている。映画では、平成元年に生まれた高橋漣と園田葵がすれ違いを繰り返し、平成の終わりに再会するまでを描く。漣と葵に映画『溺れるナイフ』『ディストラクション・ベイビーズ』などで共演している菅田将暉と小松菜奈。葵が北海道から姿を消したのち、漣の恋人となるチーズ工房の先輩・香に榮倉奈々、漣の幼なじみ・竹原に成田凌がふんする。

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 平野プロデューサーいわく「ファイト!」は、脚本の執筆を林民夫に依頼する際に、林が「『糸』はもちろん好きだけど、『ファイト』も好きなんですよ」と話していたことが、今思えばきっかけだったという。「『糸』と同様、いろんな深い意味を持ち合わせた曲だな、とその時思った記憶があります。なので、かなり早くから、脚本を作り始める前のプロットの段階で、香と竹原が『ファイト!』を歌うことに決まっていました」と起用の経緯を振り返る。

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「ファイト!」を歌う竹原(成田凌)

 香と竹原の「ファイト!」歌唱シーンは、いずれも漣が照れ隠しなのか「もっと明るい曲にせえや」と言いつつも、漣を激しく揺さぶる名シーンとなっている。平野Pは各シーンについて、以下のように説明する。

 「漣が竹原に香を紹介するシーンで香は唐突に歌い始めますが、これは香なりの照れであり、非常に明るく歌っていますが、彼女の“想い”は、漣と竹原の人生に対するまっすぐなエールです。竹原が歌う『ファイト!』は、漣と利子(二階堂ふみ)に対するエールであり、『普通に生きたいだけなのに』と嘆く自分自身に対するエールでもあります。そしてその歌には、映画を観た方にはわかっていただける香に対する特別な“想い”も込められています。この二つのシーンでは、会話で心情を説明していくよりも、『ファイト!』という曲一発で、それぞれの人物の想いをより豊かに表現出来ると考えました」

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 そして、シンガポールにわたった葵が現地で耳にするのが中国語で歌われている「時代」。漣と離れてから、葵は玲子(山本美月)、亮太(高杉真宙)と共に事業を立ち上げ、この地でもまた波乱の運命をたどることになる。

 「『時代』に関しては、編集の段階で瀬々(敬久)監督が画に貼り付けてきました。監督がロケハン時、シンガポール空港へ向かうタクシーの中で『時代』の中国語バージョンが流れてきたのを聞いたそうです。一昔前はアジアの人たちが流民化して日本へ向かい、現代は日本人が流民化してアジアに向かう、そんな“想い”と相まって深く感銘を受けたとのことでした。葵の一つの時代を区切る曲として、そして再生へ向かう姿を象徴的に表す曲として、わたしの心にも深く響くものがありました。ピーター・チャン監督の『ラヴソング』(1996)へのオマージュでもあります」

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エンディングの「糸」を歌う菅田将暉(左)と石崎ひゅーい(右)、トラックミックスを担当した亀田誠治(中央)

 エンディングテーマは、主演の菅田と、菅田とは旧知の仲であり、本作で映画初共演も果たしたシンガーソングライターの石崎ひゅーいがカバーした「糸」。これは瀬々監督の熱望によるものだと言い、監督は「作っていく最後の最後で、『糸』という映画の終わりを、人の体温と言うか、生身の人間の暖かさみたいなものでくくりたい。そう思い至りました。ふと思い出したのが、以前、菅田さんが音楽スタジオでギター一本の伴奏でちょっと歌ってみましたという感じの『糸』の歌でした。関係者に聞かせて貰っていたその歌が、強く印象に残っていました」とコメントしている。(編集部・石井百合子)

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