草なぎ剛主演映画に新人・服部樹咲、抜擢の理由 「全裸監督」森田望智以来の衝撃
草なぎ剛主演の映画『ミッドナイトスワン』(9月25日公開)で、草なぎ演じるトランスジェンダーの主人公と同居するヒロインに抜擢された14歳の新人・服部樹咲。オーディションで数百人の中から、演技未経験の服部を起用するに至った経緯について内田英治監督が語った。
本作は、新宿のショーパブで働く凪沙(草なぎ)が、ネグレクトされた親戚の少女・一果(服部)を養育費目当てで引き取ったことから、人生が一変していく物語。服部演じる一果は、凪沙の持っていたバレエの衣裳を目にしたことからバレエに魅せられ、生きがいを見いだすようになり、凪沙と心を通わせていく。
オーディションで一果役を勝ち取った服部は、当時中学1年生。4歳からバレエを始め、数々のバレエコンクールで賞に輝いている。内田監督いわく、「バレエ経験がある」というのは譲れない条件だった。「よくある、手足だけ吹替えというのは絶対にやりたくなかったんです。樹咲ちゃんはオーディションの最初の組に入っていて、『全裸監督』の森田望智の時と全く同じで、入ってきた瞬間に『この子だ』と思いました」と、服部を自身が監督を務めたNetflixドラマ「全裸監督」のヒロイン役でブレイクした森田望智と重ねる。
この規模の作品で演技未経験の新人を起用できたのは奇跡だと言い、「今回はプロデューサー含め全員一致で樹咲ちゃんに決定したのですが、それはこの映画にとってよかったと思います」と胸を張る。一体、服部の何が内田監督を惹きつけたのか。
「オーディションでは芝居というよりも、出番を待っているときの表情なんかを見ていました。すごくたたずまいがいいんですよね」
撮影が始まると、主演の草なぎがほぼぶっつけ本番だったのに対し、服部に関しては入念にリハーサルを行ったという。「特に感情の爆発などをすごく練習しました。例えば、凪沙に秘密のアルバイトが見つかって『もういい!』とバレエ教室を飛び出していくところとか。日常生活ではそこまで感情を爆発させることって、なかなかないと思うので」
一果は、凪沙と母娘のような絆をはぐくんでいく設定だが、内田監督はカメラが回っていないところでは草なぎと服部の関係に一切口出しをしなかったという。「いわゆる子役と大人の俳優が混在しているような現場って割とキャッキャしているイメージですけど、今回は2人ともそんなにしゃべるタイプではないのもあって、ものすごく静かで淡々としていて。あとで聞いてみたら好きな食べ物についてとか、話していたみたいなんですけどね(笑)。ただ、基本的に順撮りだったので、2人の間に徐々に信頼関係が生まれていったのは伝わってきました」
劇中では、愛を渇望する少女の心もとなさを表現する一方で、バレエ「白鳥の湖」「アルレキナーダ」のパフォーマンスを披露する服部。ちなみに「アルレキナーダ」は服部の得意な演目だったことから取り入れられたという。(取材・文 編集部・石井百合子)