スタジオジブリ、全作品の場面写真を提供開始 使用は「常識の範囲でご自由に」
スタジオジブリは18日、公式サイトを通じて、今月から全作品の場面写真を順次提供すると発表した。
今月提供されたのは、『千と千尋の神隠し』(2001)、『ゲド戦記』(2006)、『崖の上のポニョ』(2008)、『借りぐらしのアリエッティ』(2010)、『コクリコ坂から』(2011)、『思い出のマーニー』(2014)、『かぐや姫の物語』(2013)、『風立ちぬ』(2013)などの8作品。ファンおなじみの名場面が、各作品ごとに50枚、合計400枚もの作品静止画として提供されており、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、画像の使用について「常識の範囲でご自由にお使いください」と直筆コメントを寄せている。
鈴木プロデューサーは以前、TOKYO FM のラジオ番組「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」(毎日曜23:00~23:30)内「ジブリと著作権」の回(8月9日・16日放送)において、以前から、作品を知ってもらうことと、著作権という権利を守ることのバランスをどのようにするべきか考えていたことを明かしている。
弁護士の村瀬拓男、ジブリ法務担当の野中晋輔、ジブリ総務担当の西方大輔、ジブリ出版部の額田久徳が出演したこの放送では、ジブリの著作権に対する姿勢として「良い意味でジブリは著作権にめちゃくちゃ厳しくて、勝手に使ったからエラいことになるから、使わないのが一番だというのが一般的」なイメージがあり、その先頭にいるのが、鈴木プロデューサーと思われていることが指摘された。
しかし、それが「大きな誤解」であり「どんどん使ってもらっていいよ」という発想の人物であると明かされた鈴木プロデューサーは、日本における現行の著作権に関する考えを述べるなかで、「引用も著作権の使用に関してもすべてごちゃまぜになって、全て対価をもらわなきゃいけない。それに関して、どっかで抵抗があったんですよね」とも告白。さらに「法律を全部取っ払って、何をやってもいいよというわけではなくて。現行法をちゃんと守るということ」を示したいと語っており、そうした話のなかで「今から準備をはじめたいんですよ。ジブリのいろんなキャラクターその他の著作権を、今やっていることをかなり緩める。それでみんなが使いやすい環境を作る。でないと消えちゃう。その恐ろしさです」と、ジブリ作品を支えてくれた観客のためにも、作品を後世に残したいという考えを示していた。
また、この放送では同時に、もし今回のような試みをジブリが行った場合は、作品を貶めるようなこと、誹謗中傷はやめてほしいとも語られていた。(編集部・入倉功一)