浪川大輔、京アニの気迫を感じた…『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』アフレコの思い出
京都アニメーションが手がける『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の公開記念舞台あいさつが19日に新宿ピカデリーで行われ、ギルベルト・ブーゲンビリア役の声優・浪川大輔が「京都アニメーションさんの気迫、監督の想いをひしひしと感じました」という収録を振り返った。
この日のイベントには、石川由依(ヴァイオレット・エヴァーガーデン役)、TRUE(主題歌担当)、石立太一監督も登壇。「今日ここにこうして立てていること、昨日公開できたことが夢みたいです」という石立監督は、「やるからには今自分たちができることを全力で、作品に込めようと思っていました。今日は僕が代表してここに立っていますが、全てのスタッフが本当に頑張って作ってくれた作品だと思っています」と感極まった様子で観客に感謝した。
そんな監督の涙に、完成作品の感想を聞かれた石川も「ただただ、完成させてくださってありがとうございます」と涙ながらに語り、「みんなでヴァイオレットの生涯を描ききるというところを目標にしてきたので、監督が頑張ってくださっているのも聞いていましたし、私たちはアフレコで負けないように頑張るしかなかったんですけども、私も昨日朝一で映画を観させていただいて、素晴らしいものができあがったなと思いました」と作品への自信をにじませる。
また、ギルベルトとヴァイオレットの再会シーンは一番最後に収録したそうで、石川は音響監督の鶴岡陽太から「石川が思っているヴァイオレットが正解だから。好きなようにやって」と任されたことを振り返る一幕も。
「収録の時、京都アニメーションさんの気迫、監督の想いをひしひしと感じました。昨日公開されてから、喜んでくださっている感想をたくさん目にして、今日こうして(イベントに)参加できてよかったなと思っています」という浪川も、「ギルベルトが『ヴァイオレット!』と叫ぶシーンがあって、何回もやらせていただいたんですが、使われているテイクは声が裏返ってるんです。裏返ってないバージョンもあったんですが、どちらを使うかはお任せしました」とアフレコの思い出を語った。
さらに同シーンについて、石立監督が「鶴岡さんは『芝居として上手いものではなくて感情が乗っている方、気持ちが乗っている方を多少絵と合わなかろうが使う』とおっしゃってくださっているので。僕も絵を作る立場として、芝居がズレているのなら絵のほうを直そうと思っていました」と口にすると、石川・浪川ともに「ありがたいですね、嬉しいです」と感激していた。
劇中にはシリーズのファンにとって嬉しい細かなポイントもあり、石川は「デイジーがC.H郵便社に出向いた時、飾ってあった写真に外伝に出ていたテイラーがちゃんと写ってた! 物語がちゃんと続いてみんな生きてたんだなあと感じられたので、そういう細かいポイントも見ていただけたらと思います」とアピール。石立監督は「C.H郵便記念財団郵便博物館にデイジーが訪ねていったときにいた老婆。あれはC.H郵便社の受付で働いていたネリネです。実はデイジーが声をかけたときに居眠りしてるんですよ。そういう細かいところのお芝居も絵を描く人たちが頑張って作っています」と明かしていた。
最後に、石立監督が「大切な人、支えてくれる人、自分のことを大事に思ってくれる人……皆さんそれぞれおられると思うんです。この映画を見てそれぞれ大切な人のことを思い返していただいて、自分が今大切な人に伝えるべきことを伝えているのか、見終わった後に思っていただけるような作品になっていたらいいなと思っています」と観客に呼びかけると、客席からは大きな拍手が沸き起こった。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は2018年にテレビアニメ版が放送された人気シリーズ。完全新作劇場版となる今作では、大切な上官ギルベルトの生存を信じて日々を過ごすヴァイオレットのもとに、ユリスという少年から代筆業の依頼が舞い込み、郵便社の倉庫で一通の宛先不明の手紙が見つかったことから物語が動き出す。(編集部・吉田唯)