二宮和也なら19歳役もできる!『浅田家!』中野量太監督が見せた厚い信頼
二宮和也主演の映画『浅田家!』(10月2日公開)で監督を務めた中野量太が、主演に二宮を起用した理由やその魅力について語った。
『浅田家!』二宮和也、妻夫木聡、菅田将暉らの舞台裏ショット!
ユニークな家族写真で脚光を浴びた写真家・浅田政志の2冊の写真集を基に、主人公・政志の成長と彼の周囲の人々を温かい眼差しで描く本作。自由奔放で人間味あふれる主人公・政志役の二宮は、19歳からの約20年間を演じている。
現在37歳の二宮だが、19歳の政志を演じてもまったく違和感がない姿には驚かされる。監督は最初から「二宮さんならできる」と思っていたそうで、「30年間の物語で、二宮さんが演じるのは19歳からの20年間です。そこは髪型や髭といったヘアメイクを利用して年齢を変えていこうとプランを立てて、年代ごとにどう変えていくのかを計算してやりました。ヘアメイクとも二宮さん本人とも相談して。でも、二宮さんは(見た目が)若くて、そこもキャスティング理由の一つではあるんです」と振り返る。
監督いわく、実際の浅田政志は「子どもが寄ってきたりする、人を惹きつける“人たらし”な人。いい加減なところもあるんですけど、助けてあげたかったり、期待したくなる部分がある」そう。そうした部分を表現できる人を探すなかで、“人を惹きつける魅力”を持っている二宮に白羽の矢が立った。
「二宮さんは誰よりも普通になれるし、誰よりも人を引き付ける不思議な魅力もある。そこがキャスティングの一番の理由でした。今回は実在する浅田さんがいますが、モノマネをしてもらうつもりは全然ないです、という話を二宮さんにして。でも、ただいい加減で嫌なやつだけにはなっちゃいけない。いい加減なところもあるけど、皆が自然と笑顔になってどこか期待してしまうような浅田さんのそういう部分を表現しましょう、とずっと言っていました。二宮さんに話したのはそこぐらいですよ。他の部分はできるから、そこのところだけは絶対外さないようにしました」
『硫黄島からの手紙』(2006)ではクリント・イーストウッド監督とタッグを組み、山田洋次監督の『母と暮せば』(2015)では第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞するなど、アイドルとしてだけでなく、俳優としても輝かしい経歴を積み重ねている二宮。内面的な役づくりをしないと公言していることでも知られているが、中野監督の目に俳優・二宮和也はどう写ったのだろうか?
「多分それはこれって決めつけて、じっくり作りこまないという自分のやり方で、ちゃんと内面を表現してるんです。この人物がどんな心情なのかっていうのを明確にわかった上で、感覚で勝負する、という感じに見えました。他のキャストさんとも仲良くやられていましたし、スタッフと同じ立ち位置で物を作ってくれるという感じがとてもしました」
二宮との撮影の日々を思い返すなかで、「二宮さんは僕が言ったことに『はい』としかほぼ言わなかったんです(笑)」と笑みをこぼしていた中野監督。その言葉の端々から、二宮への厚い信頼がにじみ出ていた。(編集部・吉田唯)