菅田将暉「MIU404」とのギャップがすごい!『浅田家!』で見せる芝居の幅
二宮和也主演の映画『浅田家!』(10月2日公開)で、3.11パートのキーパーソンのうちの一人を演じた菅田将暉。メガホンをとった中野量太監督は、『そこのみにて光輝く』(2013)を観て菅田の芝居に惚れ込み、かねてから彼と一緒に作品を作りたいと思っていたという。
『浅田家!』二宮和也、妻夫木聡、菅田将暉らの舞台裏ショット!
ユニークな家族写真で脚光を浴びた写真家・浅田政志の2冊の写真集が原案の『浅田家!』。そのうちの一冊「アルバムのチカラ」は東日本大震災で泥だらけになってしまった写真・アルバムの洗浄返却作業をする人々を取材したもので、主人公・政志と彼の家族を描く前半パートに対し、映画の後半では「アルバムのチカラ」に着想を得た3.11パートが展開される。
その後半パートで二宮ふんする主人公・浅田政志が被災地で出会うのが、菅田演じる写真洗浄ボランティアの小野陽介だ。『湯を沸かすほどの熱い愛』では宮沢りえ、杉咲花、松坂桃李、オダギリジョー、『長いお別れ』では蒼井優、故・竹内結子さん、山崎努など、これまで多くの豪華俳優陣とタッグを組んできた中野監督だが、菅田と仕事をするのは今回が初めて。菅田は監督が「ずっとやりたかった」俳優のうちの一人だったそうだ。
「『そこのみにて光輝く』を観た時に『この人はすごい、いつかやりたいな』って思って。今回ちょうど『菅田くんがやってくれそうだよ』っていうチャンスが来たんです。小野のモデルになった方と菅田くんが似ているかっていうと、全然似ていないんですが、彼ならどんな役でもきっとできると思ったので、お願いしました」
この監督からの絶大な信頼に、菅田は見事に応えてみせた。「映画を観終わった後、(小野役が菅田くんだと)わかんなかった人もいましたよ。『どこに菅田くん出てたの?』って。それは超ホメ言葉だなと」という中野監督は、「衣装合わせの時はちょうどテレビドラマの『3年A組』をやっていて、『すみません、(役が)ちょっと抜けなくて……』って怖い顔で来たんです(笑)」と顔をしかめて菅田の表情を再現してみせる。
「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」だけでなく、最近では「MIU404」の久住役の怪演でもお茶の間の話題をかっさらった菅田だが、本作ではそうしたクセの強いキャラクターから一転。行方不明の友人を捜しながらボランティアとして被災地の現状に向き合う大学院生にふんし、その芝居の幅の広さを見せている。
そんな菅田と主人公・浅田政志役の二宮、そして災害ボランティア・外川美智子役の渡辺真起子の3人は、撮影前に実際に写真洗浄のやり方を学んだという。「3人とも実在するモデルがいるんですが、本人に来ていただいて撮影前にスタジオで写真洗浄を再現したんです。写真を集めて汚してから、実際にどう洗浄したのかっていうのをキャストさんと一緒にやってもらって。こんなことを3人がずっとやっていたんだっていう空気がわかりました」。この経験はキャスト3人にとっても大いに参考になった様子。劇中の彼らからは、浅田一家とはまた一味違う、闘いを共にした同志のような絆を感じることができるだろう。(編集部・吉田唯)