第21回東京フィルメックス開幕!東京国際映画祭と連携、ほぼ同時期に開催
アジア映画を中心に、独創的で刺激的な映画を集めた映画祭「第21回東京フィルメックス」の開会式が30日、東京・有楽町朝日ホールで行われた。今年はコロナ禍の中で開催初日を迎えることになり、市山尚三映画祭ディレクターも「今年は残念ながら海外のゲストを呼ぶことができず、リモートでQ&Aをやることにもなりますので、かなりイレギュラーな形で試行錯誤をしていくことになるので。いろいろと皆さんにご不便をおかけしてしまうかもしれませんが、大目に見ていただいて。ぜひとも多くの作品をご覧になっていただけたらと思います」と会場の観客に呼びかけた。
ここ数年、映画祭の安定した開催に向けて模索を続けてきた「東京フィルメックス」だが、今年は「カンヌ映画祭の大きな枠組みの中で独立性をもって開催される『カンヌ監督週間』のような連携を」という東京国際映画祭(TIFF)側の提案により、TIFFとほぼ同時期に開催。映画界の連携強化が行われることとなった。開会式に登場した市山ディレクターは「今年もさまざまなスポンサーの方々、その他の団体の方にこの日を迎えることができたことを感謝申し上げたいと思います。これから11月7日まで映画祭がほかの会場でも行われます」とあいさつ。
今年のコンペティション部門は、アジアの新進作家が2019年から2020年にかけて製作した作品の中から12作品を上映。5名からなる国際審査員が、最優秀作品賞と審査員特別賞を選び、11月7日に行われる授賞式で発表する。今年の国際審査員は、映画監督の万田邦敏を審査委員長に、映画評論家のクリス・フジワラ、アンスティチュ・フランセ日本で映画プログラム主任を務める坂本安美、プロデューサーのエリック・ニアリ、映画評論家のトム・メスが務める。
審査員を代表してあいさつを行った万田監督は「この大変な時期にお越しいただきありがとうございます。コンペティションには12本のアジアの新しい作品がそろいました。審査員はまだ誰も映画を観ていません。会期中にお客さんと一緒に一本ずつ観ていくことになります。どのような作品にめぐり会えるのか、とても楽しみにしています」と期待を寄せた。
会期中は「コンペティション」が12作品、エリア・スレイマン監督の過去の長編作品が3作品、特別招待作品としてホン・サンス、リティ・パン、ツァイ・ミンリャン、アモス・ギタイ、ジャ・ジャンクー、原一男らの新作を上映。マノエル・ド・オリヴェイラ監督の7時間に迫る大作『繻子の靴』(1985)が日本初上映となる。(取材・文:壬生智裕)
「第21回東京フィルメックス」は10月30日から11月7日(+11月22日)までTOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ有楽町(レイトショー会場)、有楽町朝日ホールほかで開催