蒼井優、田中裕子と同じ役は「夢のようだった」
女優の田中裕子と蒼井優が6日、TOHOシネマズ日本橋で行われた映画『おらおらでひとりいぐも』(公開中)の初日舞台あいさつに出席。田中と作品を共にした蒼井は、撮影中「夢のようだった」と笑顔で語っていた。舞台あいさつには濱田岳、青木崇高、沖田修一監督も出席した。
本作は、芥川賞と文藝賞を受賞した若竹千佐子の小説を、映画『南極料理人』『横道世之介』などの沖田修一監督が映画化。母として2人の子供を育て上げ、夫婦水入らずで穏やかな余生を送ろうとした桃子(田中)だったが、その矢先に夫に先立たれてしまう。呆然とするなか、これまでの歩みを振り返りながら第二の人生へと踏み出していくさまを描く。
桃子は、自分自身のなかにある“寂しさ”と向き合うが、その“寂しさ”を演じるのが濱田、青木、宮藤官九郎の3人。田中は、そんな奇想天外なシチュエーションにおいて「たくさんの自分自身と出会うなかで、(演じている相手と)目を合わせていいのか、その存在を自分で理解していいのか……解釈が難しかった」と撮影を振り返ると、「余分なことをしないように」と心がけて作品に臨んだという。
桃子の若かりしころを演じた蒼井は「田中裕子さんと同じ役をやらせていただくなんて、こんな機会はない」と前のめりで作品に参加したことを明かすと「撮影中はずっと夢のようでした。わたしは桃子さんの脳内の声もやらせてもらったのですが、自分のシーンがないときでも、現場で陰ながら裕子さんの芝居を見させていただきました」と興奮気味に語る。
沖田監督も田中と作品を共にすることは念願だったようで「撮影していると、ふとした瞬間に『田中裕子さんとお仕事しているんだ』と嬉しさがこみあげてくるんです」と笑顔を見せると、田中は「絶大なる信頼を持っていました」と監督を称えていた。
田中と念願の共演を果たした蒼井は「撮影をしながら自分の家族や自分自身の過去や未来を考えていました。こんなにもいろいろ人生と重ね合わせて撮影したことは初めででした」と思い入れいっぱいに語ると、田中は「一日も早く気兼ねなく映画館で映画を観られる日がくるように心から祈ります。皆さんもお元気でいらしてくださいね」とメッセージを送っていた。(磯部正和)