クリストファー・ノーラン、音がうるさすぎてセリフが聞こえないと文句を言われショックを受ける
映画『ダークナイト ライジング』から『インターステラー』、そして新作『TENET テネット』に至るまで、音がうるさすぎてセリフが聞き取れないと批判されることもあるクリストファー・ノーラン監督。映画評論家のトム・ショーンがノーラン監督の全面協力を得て執筆した書籍「ザ・ノーラン・バリエーションズ(原題) / The Nolan Variations」(11月3日米発売)では、映画ファンのみならず、仲間の監督たちからもサウンドについて文句を言われてショックを受けたというノーラン監督のエピソードが明かされているという。IndieWireが伝えた。
宇宙を舞台にした壮大なSFドラマ『インターステラー』の公開時にサウンドが批判された際にも、「何年にもわたって僕が尊敬する多くのフィルムメイカーたちは、サウンドを大胆なやり方で使ってきた。セリフが明瞭かだけを目指すべきではない。明瞭なストーリー、明瞭な感情……僕はそれらを画とサウンドを何層にも重ねた形で実現しようとしている」と自身の映画にとってこれが相応しいアプローチだったと The Hollywood Reporter に語っていたノーラン監督。「ザ・ノーラン・ベリエーションズ(原題)」でノーラン監督が明かしているのも『インターステラー』公開時の経験だ。
「僕たちはたくさんの苦情を受け取った。僕は実際、他のフィルムメイカーたちからも電話で言われたんだ。『君の映画を観たよ。セリフが聞こえなかった』と。何人かはきっと音楽が大きすぎるのだろうと思っていたが、真実は、僕たちはあえてそのようなミックスにしているということだ。とても、とても、急進的なミックスではあった。僕は、人々がサウンドに関してはこんなにも保守的なのかということに気付いて少しショックを受けた。なぜなら、どんな画の映画だって撮ることができる。iPhoneで撮ったところで、文句なんか言われない。だけど、もしサウンドをある方法でミックスしたり、あるサブ周波数を使ったりしたら、激怒するんだ」
ショックを受けつつも新作『TENET テネット』でも自身のアプローチを貫いているノーラン監督。次はどんな大胆なサウンドの映画を世に送り出すのだろうか?(編集部・市川遥)