稲垣吾郎、『ばるぼら』愛の逃避行をする主人公に憧れ
俳優の稲垣吾郎が21日、都内で行われた映画『ばるぼら』の公開記念舞台あいさつに出席し、自身が演じた愛に溺れ逃避行する主人公に「実際の僕は冷静なので、憧れてしまいます」と本音を漏らした。この日は二階堂ふみ、手塚眞監督も出席した。
『ばるぼら』は、男性向け漫画雑誌「ビッグコミック」で連載されていた手塚治虫の異色コミックを、実子である手塚眞監督が実写化した、日本・ドイツ・イギリスの合作映画。異常性欲に悩まされる人気作家・美倉洋介(稲垣)が、都会の片隅にたたずむ酩酊状態の少女・ばるぼら(二階堂)と出会い、迷宮のような世界に堕ちていくさまを描く。
稲垣と二階堂は本作が初共演。稲垣は「二階堂さんはデビュー作から観ていて、すごいなと思っていたので、いつか共演したかった」と印象を述べると、現場で二階堂がばるぼらとして存在してくれたおかげで、美倉という個性的な役を全うできたと感謝。
3か国の合作ということで、日本語、中国語、英語が飛び交う国際色豊かな現場。稲垣は「作品自体も幻想的なものでしたが、撮影現場もまるで夢の世界にいるような感覚だった」と貴重な経験を振り返ると、「個性が強い人たちの集まりで、下手するとムチャクチャな映画になってしまう危険性もあるなか、すごくバランスよくまとまったのがすごい」と手塚監督の手腕に脱帽していた。
劇中では、人気作家であるがゆえの美倉の苦悩が描かれている。稲垣自身も国民的アイドルとして活躍しており、常に周囲から見られる存在という共通点がある。「海外とかに行って、自分のことを誰も知らない街を歩くと開放感があります」と有名人ならではの胸中を明かすと、周囲の目をはばからずに、ばるぼらと逃避行する美倉について「僕は普段冷静なので、なかなか振り切れない。憧れはありますね」と本音を打ち明けた。
2年前に撮影した作品が、ようやく公開を迎えた。稲垣は「その間に世界は激変してしまいましたが、こうやって無事に公開を迎えられたことを嬉しく思っています」としみじみ語ると、「この映画は大きな答えが用意された娯楽作品とは違います。でも映画のテーマである愛や幻想、狂気の果てに見える美しい景色を堪能していただければ」と作品に込めたメッセージを伝えた。(磯部正和)