土屋太鳳、3回断った難役を受けた理由を明かす
女優の土屋太鳳が19日、都内で行われた「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2020」(以下TCP)の最終審査会に渡部亮平監督とともに来場、本作のオファーを3回断りながらも、4回目のオファーで受けることになった理由について明かした。
映画『哀愁しんでれら』は、映像企画とクリエイターの発掘プログラムであるTCP2016で、グランプリとなった企画を映像化した作品。全てを失った主人公・小春(土屋)が、8歳の娘を育てる開業医・大悟(田中圭)と出会い、幸せな新婚生活を始めるものの、ある日社会を震撼(しんかん)させる凶悪事件を起こしてしまう禁断の裏おとぎ話サスペンスだ。
TCP最終審査会のゲストとして登壇した土屋は、本作のオファーを3回にわたって断っていたのだという。「本当だったら断った理由をお話ししないと伝わらない部分もあると思うのですが、それはネタバレになるので。出演を決めた理由を2つ答えたいと思います」と切り出すと、「ひとつめは、大悟という重要な役柄の男性がいるのですが、大悟を演じるのが田中圭さんだと伺ったので、圭さんが演じる大悟さんを小春として見てみたいというのが直感としてありました」と説明。
さらに「もうひとつは、4回目(のオファーの際)にわたしの前に台本が来た時、小春が泣いている(ように感じた)というか。誰かわたしを見つけて、誰か自分の感情を伝えてほしいと言っているような、迷子のような、泣いているような感覚があって。これはやっぱり受けさせていただいた方がいいんだなと思いました」と振り返る。
それを聞いた渡部監督は「ほかにはオードリー・ヘプバーンくらいしか思い浮かばなかったんです」と笑いながら、「グランプリを獲って、ずっと主演は誰がいいんだろうと思っていた時に、土屋さんが出ているMVを観てその表現力に驚いたんです。すごいものを秘めているなと思って。それをこの映画に出していただければ、すごいパワーがこもった映画になるんじゃないかなと思いました。他の方は思い浮かばなかったです」と土屋にこだわった理由を説明した。
その言葉に、「ありがたいなと思います」と返した土屋は、「こういったエキセントリックなストーリーは、10代の後半くらいにやっていたので戸惑いはなかったというか、変な気持ちを持たずに、監督の台本で走ることができたかなと思います」と述懐した。
本作の小春は、感情の振り幅が大きい役柄となった。その点について土屋は「感情の振り幅はあるほど突っ走っていきやすいので、難しいという感情はありませんでした。むしろ普通の女の子、普通の日常を演じる方が難しい。20代前半でけっこう普通の女の子をやらせていただいたので、それは最初の方の役柄に生きたかなと思います」と語った。
TCP最終審査会では、脚本部門3名、監督部門3名、企画部門3名からなる計9名のファイナリストのプレゼンテーション、および表彰式を実施。厳正なる審査のうえ、今年の監督部門、企画部門は該当者なしという結果になったが、角田恭弥(映画監督・助監督)、加藤毅(プロデューサー)による「10歳、ぼくのじんぎ(仮)」は映像化に向けて企画検討されることが発表された。脚本部門は、安倍照雄(脚本家)の「三人の柄本明(仮)」が審査員特別賞を、藤田健司(大学生)の「バトリーヌ!(仮)」がグランプリを獲得した。(取材・文:壬生智裕)
映画『哀愁しんでれら』は2021年2月5日より全国公開