「愛の不時着」「梨泰院クラス」の次に観るべき韓国ドラマは?
今年の「ユーキャン 新語・流行語大賞」にもノミネートされた「愛の不時着/第4次韓流ブーム」。Netflixから始まったこの韓流ブームで、今まで韓国ドラマに興味はなかったのに「愛の不時着」「梨泰院クラス」でその面白さに目覚めた人も少なくないはず。今も続行中の韓流ブーム。次に観る作品に迷っているアナタにおススメの作品をご紹介。(前田かおり)
「スタートアップ:夢の扉」
競争激しい韓国のIT業界で、成功を夢見る若者たちの恋と成長を描く青春ドラマ。大ヒットドラマ「あなたが眠っている間に」の演出を手掛けたオ・チュンファンと、脚本家パク・ヘリョンが再びタッグを組み、同作でヒロインを務めたペ・スジと、「麗<レイ> ~花萌ゆる8人の皇子たち~」、映画『安市城 グレート・バトル』や、目下Netflixで配信中の「保健教師アン・ウニョン」などで人気急上昇中のナム・ジュヒョクが主演している。
ペ・スジが演じるのは、語学堪能で仕事もデキるが、学歴のないダルミ。行動力と才覚がある彼女は韓国のスティーブ・ジョブズのような起業家を夢見ている。そんなダルミが、ジュヒョク演じるプログラミング会社の若き経営者ドサンと出会い、互いに助け合いながら困難を乗り越え、成功を目指していく。
スタートアップ企業という、今までドラマでは描いたことのない分野を題材にしている新鮮さと、過去、キム・スヒョン(「ドリームハイ」)やイ・ジョンソク(「あなたが眠ってる間に」)、イ・スンギ(「Vagabond/バガボンド」)ら人気韓流男優と魅力的なケミストリーを見せてヒットさせてきたスジがナム・ジュヒョクという最旬俳優とどんな色合いを見せるかが見もの。ほか、キム・ソンホ(「100日の郎君様」)や、「愛の不時着」で韓国ドラマ通の北朝鮮兵士を演じたユ・スビンも登場する。
「青春の記録」
「恋のスケッチ ~応答せよ1988~」で注目を浴び、「雲が描いた月明り」で日本でもブレイクしたパク・ボゴム主演の青春ドラマ。今夏、入隊した彼にとって兵役前最後のドラマで、『パラサイト 半地下の家族』でソン・ガンホの娘を演じたパク・ソダムとの共演ということで、前評判が高かった。一見華やかなエンターテインメント業界を舞台に、俳優、メイクアップアーティストを目指す若者たちの苦悩と奮闘を描く物語で、ボゴムが演じるのは、モデルから俳優への転身を目指す主人公ヘジュン。
なかなかうまくいかないが、飲食店でバイトしながら夢を諦めずにいる。幼なじみのヘヒョも同じ道を目指しているが、裕福な家庭育ちの彼は親の援助もあり、すでに人気者に。そんな中、見習いメイクアップアーティストのジョンハと出会い、恋の予感も……。実力や才能があり、たとえ努力をしても経済的な格差や家柄が重視される現実に直面しながらも、自分の力で道を切り開こうとする若者をボゴムが自然体で演じる。
また、劇中の作品で、キレキャラな財閥の御曹司といった、ちょっと見たことがない役を熱演しているなど、俳優としての力量をフルに発揮。ボゴム渾身の作と言ったところ。そのほか、注目は「梨泰院クラス」にボゴムがカメオ出演したお返しに、本作ではパク・ソジュンが出演。2話ほど登場する。
「サイコだけど大丈夫」
精神病院で保護士として働きながら、自閉症の兄を献身的に世話してきた青年ガンテが、超エキセントリックな童話作家の女性と出会ったことから自分の心の奥底にあった傷と向き合い、過去のトラウマを乗り越えていく。主演は「愛の不時着」にもチラッとカメオ出演していたキム・スヒョン。日本でも大ヒットした時代劇「太陽を抱く月」や、チョン・ジヒョンと共演のラブコメディー「星から来たあなた」など出演作にハズレなしと言っても過言ではないほど、若手俳優の中でも演技力には定評がある。
そんな彼の除隊後初の復帰作だけに、期待はハズさない。もっとも、序盤は少々とっつきにくさを感じるかも。ただ、ラブコメディーと思って観ていると、ガンテ兄弟とムニョンの間に起きたある事件がサスペンスフルだったり……、思いも寄らない展開が待ち受ける。何より、俳優陣が素晴らしい。キム・スヒョンの泣きの演技にはもらい泣き必至。ヒロイン役のソ・イェジはサイコっぷりから始まって、どんどんチャーミングな女子へと変貌し、そのいじらしさをファッション、メイクで体現するところがまた可愛い。驚異の極細ウエストにも注目!
さらに自閉症の兄サンテを演じたオ・ジョンセの名演は『レインマン』のダスティン・ホフマンのそれを超越する。「椿の花咲く頃」にも出演しているが、それとは全く違う見事な演技。ラストのラストまでガッツリと心をわしづかみされる。
「椿の花咲く頃」
韓国のゴールデン・グローブ賞とも呼ばれる百想芸術大賞で「愛の不時着」「梨泰院クラス」を抑えて、テレビ部門の大賞、脚本賞など4冠に輝いたヒューマンドラマ。海辺の田舎町を舞台に、女手一つで息子を育てながら、“カメリア(=椿)”という飲食店を営む30代シングルマザー、ドンベクに訪れる熱血漢の警察官ヨンシクとの恋を描きながら、町で起きる連続猟奇殺人事件の謎を解き明かしていく。決して派手ではないが、閉鎖的な社会で未婚の母という偏見を跳ね返し、町にしっかりと根付いていくヒロインの生き方や幼い息子との暮らしぶり、そんな彼女を取り巻く温かな人間模様がじんわりと心にしみる。
韓国では2019年地上波で放送されたドラマの中で最高視聴率の23.8%を記録している。魅力は、力ある役者たちがズラリと揃っていることだろう。主演は韓流ラブコメの女王、コン・ヒョジン。そして彼女演じるヒロインに何度フラれても諦めずに、男の純情を捧げ続けるヨンシクを映画『ミッドナイト・ランナー』でパク・ソジュンの相棒を務めたカン・ハヌルが熱演。この演技で、百想芸術大賞の男性最優秀演技賞を受賞した。
脇役にも注目。韓流ドラマではおなじみのキャストがズラリ。とくに、カメリアの家主で言うことは大きいけれど、小心者な男にはオ・ジョンセ。「サイコだけど大丈夫」の障害ある兄とは全く異なるキャラクターを好演し、百想芸術大賞の助演男優賞を受賞。そのほか、街のにぎやかなオバチャンには「愛の不時着」で北朝鮮のうわさ好きなオバチャンを演じたキム・ソニョン、さらにドンベクの母親役に『パラサイト 半地下の家族』の家政婦イ・ジョンウンとベテラン陣が出演している。
「賢い医師生活」
大学の医学部で出会い、共に学び、青春を謳歌した男女5人。40代になり、それぞれ専門分野の優秀な医師として活躍する彼らが、再び同じ職場で働くことに。人命を預かる病院が舞台の医療ドラマだけに、緊迫したやり取りや涙せずにはいられないシーンもあるが、同僚や家族と繰り広げる日常の中で、ふと感じる喜びや痛み、恋愛模様を描いていく。大人気ドラマの「応答せよ」シリーズ3作や「刑務所のルールブック」のスタッフが手掛けており、それらと同じく、ヒューマンな温かさが魅力だ。
5人は暇さえあれば集まり、学生時代の延長のような仲の良さを見せる。その一つとして、かつてやっていたバンドを再結成して、仕事の合間に練習をすることにもなる。演じるキャストそれぞれが芸達者。とくに、映画『建築学概論』や『観相師-かんそうし-』『EXIT』ほか、ドラマでも活躍するチョ・ジョンソクはもともとミュージカル出身。また、紅一点のソンファ役のチョン・ミドはミュージカル界のトップ女優であったり、皆、歌や舞台の経験がある俳優たちなので演奏シーンは見ものだ。本作のOST(サウンドトラック)の中には彼らの楽曲もある。好調につき、2021年にシーズン2の配信が決定している。