映画「ゼロワン」地獄を象徴するヘルライジングホッパー誕生の裏側!
ついに全国公開を迎えた『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』。本作で劇場版オリジナルの新フォームとなるのが、主人公・飛電或人(高橋文哉)が変身する「仮面ライダーゼロワン ヘルライジングホッパー」だ。なぜ主人公が、地獄(ヘル)の名を冠するライダーに変身したのか。チーフプロデューサーの大森敬仁、商品企画担当の井上光隆(バンダイ)、デザイン担当の山下貴斗(プレックス)がデザインの観点から明かした。
本作は、60分で世界を滅ぼし楽園を創造すると宣言する謎の男・エス/仮面ライダーエデン(伊藤英明)と或人たちのバトルを描くタイムリミットサスペンス。ヘルライジングホッパーは、エデン(楽園)に対抗する存在として生まれたフォームだが、ゼロワンの最終形態「仮面ライダーゼロツー」の存在も大きかったという。
ゼロツーは、敵のあらゆる行動を予測して先手が打てる最強のフォーム。大森は「本来はゼロツーが出た時点で最強なんです。しかし、劇場版で或人がポジティブな方向にパワーアップをすると、ゼロツーの優位性が無くなる。そのため、ネガティブな方向性に舵をきった形です。あとは、すでにエデンの登場が決まっていたので、対抗する力として表現しました」。
そもそもテレビと映画では、ライダーのデザインプロセスが大きく違う。「映画だと内容から受けた印象をデザインに取り入れる事ができます」という山下。「テレビと違って、映画だと内容に沿ってデザインを組み立てられる」という大森は「ヘルライジングホッパーは『地球を終わらせるライダーにできませんか』というお話をしました(笑)。だから、胸に地球のマークがデザインされているんです」と明かす。
「(スーツアクターの)縄田さんが、ヘルライジングホッパーの色合いがとても好きだと言ってくれたのが嬉しかったですね」という山下。「或人にとって凄く過酷な変身だという事だったので、口元にクラッシャー風の意匠を描いたり、目を白くして血走ったようなグラフィックを入れたりして、極限状態を思わせる表情を作りました」
まさに地獄を象徴するようなフォームだが、負のパワーで戦うといえば、テレビ本編でも、復讐にとらわれた或人がアークワンに変身する展開が描かれた。大森は「最終回の前に(映画)が公開されていたら、(テレビの展開は)違っていたかもしれないですね。或人が悪に落ちる展開も、映画の方が先に決まっていた」と振り返る。
奇しくもコロナ禍における撮影の遅れが、主人公の葛藤をより色濃くしたことになる。しかし大森は、同じ負のパワーでも映画と本編では全く意味合いが違うと明かした。「ただ今回の物語の鍵となるのは、自己犠牲。詳しくは言えませんが、悪い力で相手と戦うのではなく、世界を守るために相手の力を取り込むというか。そのため、アークワンとはかなり違う存在になっています」(編集部・入倉功一)
『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』は全国公開中