「麒麟がくる」谷原章介、三淵藤英役に「幸せでした」 気高い生きざま振り返る
27日に放送された大河ドラマ「麒麟がくる」(NHK総合・毎週日曜20時~ほか)第38回で織田信長(染谷将太)から切腹を言い渡された幕臣・三淵藤英を演じた谷原章介が、明智光秀(長谷川博己)の助けを拒み運命を受け入れた三淵の真意について語った(※ネタバレあり。38回の詳細に触れています)。
第38回「丹波攻略命令」では、将軍・足利義昭(滝藤賢一)が信長との戦いに敗れたのち、義昭につかえていた三淵に信長から切腹の沙汰を言い渡される。三淵は光秀の娘たま(芦田愛菜)との穏やかな時間を過ごした後、光秀のもとへ信長からの使者がやってきたことを悟り切腹を覚悟。「自分には死ねとは言えない。信長様に助命を直訴する」という光秀の訴えを断り「捨てられる花にも、一度は咲いてみせたという誇りが有るように見える」と話すが、谷原は本シーンをこう振り返る。
「自分なりにやり切ったという思いでした。もちろん胸の内には、信長についていれば……将軍と距離をおけば……そのような思いもあったのかもしれません。でもそれをしてしまうと藤孝と同じになってしまう。そうして生き残ったとて三淵にとっては死んだも同然の意味のない生になってしまう。どう生きるかということはどう死ぬのかということなのかもしれません。その晩節を助命嘆願でけがしたくはなかったのです」
冷静で聡明な人物として描かれてきた三淵だが、谷原は1年近く演じてきたこのキャラクターについて「最初三淵は感情を表に出すことが少なく、策士なのか? 特権意識で凝り固まった嫌なやつなのか? どういう人間なのか掴みづらかった」という。しかし、物語が進むにつれ「徐々にその姿が僕にも見えてきて彼を好きになっていった」と愛着がわいていった。
義弟・細川藤孝(眞島秀和)が信長側に寝返ったのに対し、義昭と運命を共にする道を選んだ三淵。将軍への忠義を貫き、誇り高く散った三淵の選択を「三淵と藤孝は対照的な二人だと思います。藤孝の生き方は人間としては正しいと思います。ですが三淵の生き方は幕臣として正しいものであったと思います」と話し、「三淵藤英という役に出逢えて、演じることができて幸せでした」と万感の思いを語った。(編集部・石井百合子)