第4次ブームをけん引!新・韓流四天王はだれ?
かつて、大ブームを巻き起こした「冬のソナタ」でヨン様と呼ばれ、日本の中高年女性のハートをわしづかみしたペ・ヨンジュンをはじめ、チャン・ドンゴン、イ・ビョンホン、ウォンビンは“韓流四天王”と呼ばれ、2004年前後に起きた第1次韓流ブームをけん引した。2020年、コロナ禍によるステイホームでNetflix配信の韓国ドラマが大ヒットし、今まで見向きもしなかった男性層など幅広い層を取り込み、第4次韓流ブームを巻き起こした。旧・四天王に対して、新・韓流四天王としてイ・ミンホ、キム・スヒョン、イ・ジョンソク、キム・ウビンの名が挙がっていたときもあった。だが、Netflix配信が下支えする今の韓流ブームを象徴する現在の韓流四天王というと、誰なのか。
Netflixが発表した「2020年 日本で最も話題になった作品 TOP10」内には「愛の不時着」「梨泰院クラス」「サイコだけど大丈夫」「青春の記録」「キム秘書はいったい、なぜ?」というように韓国ドラマが5作品もランクイン。洋画に邦画、アニメ、海外、国内ドラマなどさまざまなジャンルの中で、日本においてNetflix上の韓国ドラマの視聴が前年と比較して6倍以上も伸びたというのだから、第4次韓流ブームの勢い、推して知るべしと言ったところだろう。
中でも、ダントツ1位は「愛の不時着」。昨年2月に配信されて以来、長らくランキングの上位をキープし続けた。まず、現・韓流四天王の一人に入るとすれば、本作で38度線を越えてやって来た韓国の女性起業家と運命の恋に落ちる北朝鮮のエリート軍人を演じたヒョンビン(38歳)だろう。ヒョンビンといえば「私の名前はキム・サムスン」(2005)に「シークレット・ガーデン」(2010)などで、すでに韓流ファンの間では絶大な人気を誇っている。だが、Netflix配信によって世界的な話題作となった「愛の不時着」で、改めてヒョンビン自身も注目を浴びることになった。
情報系番組やワイドショーで作品が取り上げられるだけでなく、「愛の不時着」の大ファンであることを公言していた笑福亭鶴瓶がMCを務めるラジオ番組にヒョンビンが直筆のお礼状を送るといった話題もあり、ますます幅広いファンにヒョンビンは作品と共に、その名を知られることになった。次回作は映画『交渉』。中東で発生した韓国人拉致事件を描くポリティカル・サスペンスで、『国際市場で逢いましょう』のファン・ジョンミンと共演する。
2人目は、話題作TOP10の2位「梨泰院クラス」で主演を務めたパク・ソジュン(32歳)。復讐を胸に外食業界でトップを目指す青年と、その仲間たちとの愛と友情を描いた痛快サクセスストーリーで、自分の信念を愚直なまでに貫く主人公を熱演して、韓国はもちろん日本でも爆発的な大ヒットを記録した。お笑い芸人たちがその面白さをバラエティー番組などで広めたり、SNSで主人公セロイのイガグリ頭を真似た投稿をしたことで、韓流ファン以外にも広まっていった。ちなみに、パク・ソジュンがナルシストなツンデレ御曹司を演じた「キム秘書はいったい、なぜ?」(2018)も話題作TOP10にランクイン。「梨泰院クラス」でイッキに人気に火がついた彼は、過去の出演作も注目されることになったのだ。
また、2017年の主演映画『ミッドナイト・ランナー』が日本でドラマ「未満警察 ミッドナイトランナー」としてリメイクもされた。2021年は、寄せ集めポンコツサッカーチームの奮闘を描く映画『ドリーム(仮)』が待機している。メガホンを取るのが2019年に大ヒットを記録した『エクストリーム・ジョブ』のイ・ビョンホン監督だけに、前評判も高い。
3人目は、TOP10では6位の「サイコだけど大丈夫」のキム・スヒョン(32歳)。もともと新・韓流四天王の一人と呼ばれていた彼は、デビュー当初から演技に定評がある若手実力派だ。プロデューサー業にまわったペ・ヨンジュンと、J.Y.Parkことパク・ジニョンが共同企画・製作した「ドリームハイ」(2011)で田舎のさえない高校生がひょんなことから芸術高校に進学し、天才的な音楽の才能を見出されてスターになるという主人公を演じ、ずば抜けた演技力と歌唱力を披露して次世代のスターに。また日本でも大ヒットした「太陽を抱く月」(2012)では初の時代劇に挑み、「星から来たあなた」(2013)では400年前の朝鮮に来て、現代まで人間世界に紛れ込んでいる宇宙人と人気女優が繰り広げるラブコメも大成功させている。
そんな彼が除隊後初の復帰作として選んだのが「サイコだけど大丈夫」。自閉症の兄を世話するために自分の人生を諦めたような青年と、毒親に育てられて愛を知らない童話作家のヒロインとの出会いを描くラブストーリーで、キム・スヒョンは心に深い傷を抱える主人公を繊細に演じる。彼の涙の演技は絶品だが、本作でももらい泣きすること必至。次回作は、Netflixオリジナルシリーズ「フィンガー」への出演を検討中とか。実現すれば、サイコパスの殺人鬼に挑むらしい。
4人目として紹介するのは、TOP10で8位の「青春の記録」で主演したパク・ボゴム(27歳)。ここで挙げた現・韓流四天王の中では一番若い。「恋のスケッチ ~応答せよ1988~」(2015)の天才囲碁棋士役で一躍ブレイクし、「雲が描いた月明り」(2016)のツンデレ世子役で日本でも人気を得る。人懐っこい笑顔とナチュラルな雰囲気が魅力で、「青春の記録」はまさにそんな彼の持ち味を生かした作品。自分が目指す夢に向かって悩み惑い、時には家族や友とぶつかりながらも進んでいく、ごく普通の青年を等身大に演じている。本人自身は2020年8月に入隊。入隊前に撮ったSF映画『徐福』ではコン・ユと共演で、人類初のクローン人間役に挑んでいる。
話題作TOP10から見た四天王なので外してしまったが、一般的に新・四天王の一人といわれるイ・ミンホ(33歳)の主演作「ザ・キング:永遠の君主」は、Netflixの「2020年 日本で最も勢いのあった韓国ドラマTOP10」にランクインしている。並行世界にある二つの韓国を行き来する皇帝を演じており、時空の壁を白馬に乗って神々しく渡って現れるイ・ミンホ。韓国版「花より男子」で財閥御曹司・道明寺司が似合いまくっていたが、やっぱり王子様キャラはハマる。ちなみに、彼の次回作は Apple TV 制作のドラマ「パチンコ」。韓国系アメリカ人の作家ミン・ジン・リーの同名小説のドラマ化で主演。韓国・アメリカ・日本を行き来するストーリーらしい。Netflix配信の「ザ・キング」で世界に顔を売ったイ・ミンホの新作、初の本格的アメリカ進出作はどうなるか、楽しみだ。(前田かおり)