脚本家・坂元裕二、菅田将暉は「唯一無二の存在」 有村架純の「手品を見せられているような芝居」に感激
俳優の菅田将暉が29日、都内で行われた映画『花束みたいな恋をした』(公開中)の初日イベントに、ダブル主演の有村架純、土井裕泰監督、坂元裕二(脚本)と登壇。本作は、「ラブストーリーをやりたい」という菅田のラブコールによって実現したことが明かされた。
本作は、ドラマ「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」などの人気脚本家・坂元が、映画で初めて手掛けたオリジナルのラブストーリー。東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことを機に出会い、あっという間に恋に落ちた大学生の山音麦(菅田)と八谷絹(有村)の5年間を追う。
坂元は、「自身が関わっているものですから恥ずかしいんですが、素直に沁みて、ちょっと泣きました」と試写後の感想を明かすと、菅田らに「ありがとう」と感謝。また、本作の誕生秘話も紹介。菅田と出会ったのは2015年に放送された連続ドラマ「問題のあるレストラン」で、3年前に再会した時に「またお仕事したいんだよね」と声をかけたのだとか。すると、菅田から「ラブストーリーをやりたい」とリクエストされたそうで、「その時の思いを果たせて感無量です」としみじみと語った。
さらに坂元は、「菅田くんは、もっと怖い人だと思っていたから、ラブストーリーなんてバカにしているのかなと思った(笑)」と正直に吐露。「初めて会ったとき、髪で顔を隠していて、『お前、来んな』という感じなのかと思っていた」ともぶっちゃけ、会場の笑いを誘った。そんな中、菅田は、「ラブストーリーやりたかったんですよね。今のうちにやらなきゃな……みたいな気持ちも(あった)」と当時を思い返していた。
菅田の役者としての魅力にも言及する坂元。「とても多面的で、矛盾したものを抱えた俳優さんだと常々思っています。いい人な部分や悪い人な部分、純粋な部分やどこか擦れた部分、闇を持っていたり、光を持っていたり、そんな二つの反するものを同時に表現でき、人間的なものをお持ちになった唯一無二の存在だと感じています」と絶賛し、「嬉しいですね」と菅田を喜ばせた。
有村については、「とてもミステリアスで、何を考えていらっしゃるのかわからない。世間から外れた佇まいが演技に感じられ、不思議な手品を見せられているようなお芝居に感激しています」と独特の目線で印象を打ち明けた。その言葉に、有村は「ちょっと恥ずかしいです」とはにかみつつ、「以前も『一生わからないと思う』とおっしゃっていたので、わからないままでいてほしいな……」と可愛くお願いしていた。(取材:錦怜那)