細田守監督の新作、主人公は女子高生!特報でビジュアルも公開
『バケモノの子』(2015)、『未来のミライ』(2018)に続く細田守監督の新作『竜とそばかすの姫』(夏公開)の新ビジュアル、並びに特報が公開され、17歳の女子高生を主人公にしたストーリーが描かれることが明らかになった。細田作品で女子高生を主人公にするのは『時をかける少女』(2006)以来、約15年ぶり。細田監督いわく、「恋愛やアクション、サスペンスの要素もありつつ、一方で、生と死という本質的な大きなテーマもありエンタメ要素の高い作品になっている」という。
前作『未来のミライ』では「アニメ界のアカデミー賞」とされるアニー賞で長編インディペンデント作品賞を受賞し、米国アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされるなど海外でも高い評価を受ける細田監督。新作の舞台は、50億人以上が集う超巨大インターネット空間の仮想世界<U>。心に傷を抱える17歳の女子高生すずが、“もうひとつの現実“と呼ばれるこの世界で未知との遭遇を経て成長していくさまを追う。
過疎化が進む高知の田舎町で父と暮らしていたすずが、ある日仮想世界<U>と出会い、「ベル」というアバターで参加することに。幼い頃に母を事故で亡くして以来、歌うことができなくなっていたすず(ベル)だが、その世界では自然に歌うことができ、自ら作った歌を披露するうちにあっという間に人気者に。やがて彼女の前に、<U>の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる……というストーリー。
30秒の特報映像は、高知の現実世界とインターネット空間の仮想世界<U>を収めたもの。すずが暮らす高知の自然豊かな美しい夏の風景、<U>を浮遊するたくさんのアバター、すずのアバターである「ベル」、謎の存在「竜」のビジュアルも一部見られる。さらに『サマーウォーズ』『バケモノの子』など細田作品のモチーフの一つであるクジラの尾ひれも登場。
なお、細田監督はこれまで『デジモンアドベンチャー/ぼくらのウォーゲーム!』(2000)、『サマーウォーズ』(2009)などでもインターネットの世界を描いている。
細田監督のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)
<細田守監督>
この『竜とそばかすの姫』は、“ずっと創りたいと思っていた映画”です。アニメーション映画監督になる前から、自分もいつかこういう映画が作れたらいいなと思っていたものであり、今まで様々な作品を創ってきたからこそ、やっと今回実現できるようになりました。恋愛やアクション、サスペンスの要素もありつつ、一方で、生と死という本質的な大きなテーマもありエンタメ要素の高い映画になっていると思います。
僕は、若い人が面白く楽しく世界を変革していくのではないかと、インターネット世界を題材にした映画を今までにも創ってきました。インターネットは、誹謗中傷やフェイクニュースなどネガティブな側面も多いですが、人間の可能性を広げるとても良い道具だと思っています。インターネットそのものが変わってきている今、肯定的な未来に通じるような映画ができないかと考えていました。
去年来、普及するのにまだまだ時間がかかると思っていたインターネットを通じた仕事や生活が、常識と共に大きく変化し、未来に10年くらいぐっと近づいた気がしています。今までの常識に捕らわれずどんどん変化している時代の中で、変化していく世界についての映画を創るということに、どこか必然性を感じています。
その一方で、最終的に大事にしないといけないものは変わらないのではないかとも思っています。
私たちが代々受け継いできたものは、世の中が変化し、ツールや常識が変化しても受け継がれていくもの。それがよりはっきり見えてきているのが今の時代なのかなとも思っています。
圧倒的な速度で変わっていく世界と、自分たちにとって本当に大切な変わらないもの、それを今作で楽しんでいただければと思います。