『ハリー・ポッター』から20年、ダニエル・ラドクリフが挑戦を続ける理由
ダニエル・ラドクリフが映画『ハリー・ポッターと賢者の石』に主演し、若くして世界的スターとなってから今年で20年となる。テレビ電話インタビューに応じたダニエルがこの20年を振り返り、突然角がニョキッと生えてきた男役(『ホーンズ 容疑者と告白の角』)、丸刈り&タトゥー姿でネオナチに潜入するFBI役(『アンダーカバー』)、万能の死体役(『スイス・アーミー・マン』)、そして新作『ガンズ・アキンボ』での両手を銃に改造されたオタク役など、挑戦的な役柄に果敢に挑み続ける理由を語った。
【画像】可愛すぎる!『ハリー・ポッター』時代のダニエル・ラドクリフ
『ガンズ・アキンボ』は、インターネットで煽りコメントを書き込む趣味があだとなり、違法なライブ配信デスマッチ「スキズム」の主催者に身元を突き止められ、両手を銃に改造されてしまったオタクの悲劇を描いたバイオレンスアクション。強制的に「スキズム」の参加者にされた主人公は、銃の手では服すらうまく身に着けられず、下着にガウン姿でボロボロになりながら逃げ惑う。とにかくクレイジーで体を張った役柄だが、引き受けることにためらいは全くなかったとダニエルは笑う。
「オリジナリティーにあふれ、とてもよく書かれた脚本だったんだ。クレイジーな前提が中心にある作品だと、90分~2時間という上映時間中、そのテンションを持続させるのは難しい。だから読み始めて10ページくらいで、僕は『このアイデアが好きだ! でも最後まで持続できるかな?』と思ったわけだけど、本作はそれをやってのけていた。だからためらいは全くなく、これをどうやって実現しようかとすぐに考え始めていたよ」
本作は激しいアクション映画である一方で、主人公が“銃の手”に変えられてからの日常生活が丁寧に描かれていく点はコミカルでもある。靴を履く、ズボンを履く、携帯電話をかける……といった“銃の手”でやる必要のあるフィジカルなアクションは全て事前に洗い出し、練習の日が設けられたのだという。
「正直、“銃の手”にこんなに早く慣れるものなのかと驚いた。撮影1~2日目はめちゃくちゃやりづらいと思ったけど、3~4週目となると『わーい! 必要なことはこの手でほとんど何だってできるじゃん!』という感じで(笑)」「僕は自分の体を使い、激しい身振りをするのを本当に楽しんだ。スタントチームが素晴らしいアクションシーンをさせてくれて、それがとてもエキサイティングでクールな形で撮影されている。アクションファンには、ぜひともチェックしてほしい作品だよ」
ダニエルは、自身が挑戦的な役柄に挑み続けることができるのは、『ハリー・ポッター』シリーズで得た名声と資産のおかげだと考えているようだ。「僕はものすごく幸運だ。ほとんどの俳優が、僕が今いるポジションを得たいと思っているはず。僕はクレイジーなほど若い時に“自分がやりたいことを選べる”というキャリアにおける自主性を持つことができた。そして演技というのは、挑戦的なものになればなるほど面白くなる」
「同じことを何度も何度も繰り返すのは、また違った意味で難しくスキルが必要なことではあるけれど、僕は一つの企画から次の企画へ、全く違うことをやるのが好き。僕は幸運にも、今までやったことのないようなオリジナリティーを追求できる立場にいる。だからこの立場にいられる限り、挑戦し続けたい」と今後もこの姿勢を貫いていきたいと語った。
そして今年は、その『ハリー・ポッター』シリーズ20周年の記念すべき年。ダニエルは「素晴らしい20年だった。夢の仕事と言っても過言ではないし……もし学校に行き続けていたら、何か他に興味の対象を見つけたかもしれないけれど、僕は11歳にしてこの業界で自分の場所を見つけた。ここが自分のホームだって。例えば学校では受け入れられないものでも、ここでは歓迎されて逆に良かったりする。めちゃくちゃエネルギーが有り余っているといったことは、学校では問題になるかもしれないけれど、映画の撮影現場では素晴らしいこと。そんな風にして、映画の撮影現場は僕にとてもよく合ったんだ」と振り返る。
「そんな機会をもらえて本当に幸運だと思っているし、『ハリー・ポッター』が終わってからの10年は映画や演劇、本当にいろいろなことをやって、さまざまな人たちと働き、とても幸せだった。今も続けていられるなんて信じられないくらいだよ。これからも演技を続けられたら、そしていつかは監督と脚本もやれたらと思っている。だって僕は映画の世界を愛しているし、そこで働く人たちが好き。そんな撮影現場で働けて光栄だよ」(編集部・市川遥)
映画『ガンズ・アキンボ』は公開中