『ノマドランド』のサウンド・ミキサー、35歳で死去
賞レースを席巻している映画『ノマドランド』でサウンド・ミキサーを務めたマイケル・ウルフ・スナイダーさんが35歳で亡くなった。自殺だった。家族がFacebookで公表した。
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マイケルさんと数日にわたって連絡が取れなくなったため、父親のデヴィッドさんが現地時間1日に彼が住むニューヨーク・クイーンズのアパートメントを訪ねたところ、マイケルさんの遺体を発見したという。マイケルさんは何年にもわたって大うつ病を患っており、症状は悪化したり改善したりを繰り返していたものの、新型コロナウイルスの影響でここ1年はほとんど一人でクイーンズの小さなアパートメントで過ごすことになったことが、マイケルさんの命を奪うことになったのだろうとつづられている。
『ノマドランド』のみならず、『ザ・ライダー』でもマイケルさんと組んだクロエ・ジャオ監督は声明を発表。「『ザ・ライダー』でも『ノマドランド』でも、わたしはテイクが終わるごとにウルフを見ました。わたしは撮影現場ではヘッドフォンを付けなかったので、ウルフはわたしの耳であり、彼に大きく頼っていたのです。彼は幸せそうな笑みを浮かべてうなずいたり、目に涙をためてうなずいたり、時には控えめに『もう一度』という合図を送ってきました」「これからもずっと、彼を恋しく思うでしょう」「友よ、向こう側でまた会いましょう」と作品に大きな貢献をしたマイケルさんをしのんだ。
『ノマドランド』で主演を務めたフランシス・マクドーマンドも「ウルフはわたしたちの鼓動を、わたしたちの呼吸一つ一つを録音しました。わたしにとって、彼こそが『ノマドランド』です」とコメントしている。(朝倉健人)