渡邊圭祐、魅惑の悪に大抜擢!遅いデビューを武器に邁進
2018年放送の「仮面ライダージオウ」で俳優デビュー後、昨年は「恋はつづくよどこまでも」「MIU404」と立て続けに話題のドラマに出演し、快進撃が続く渡邊圭祐。新作映画『ブレイブ -群青戦記-』(公開中)でも、新田真剣佑、三浦春馬さんら錚々たるメンバーのなか、悪役として鮮烈な存在感を示した。役者デビューが25歳という状況のもと、どんな戦いに挑んでいるのだろうか……渡邊が胸の内を語った。
渡邊にとって『ブレイブ -群青戦記-』の撮影は、「仮面ライダージオウ」に次いで自身2本目となったが、演じた不破瑠衣は、劇中で非常に重要な役割を果たす高校生だ。渡邊は「豪華なキャストの方々が出演するなか、ものすごく重要な役を任せてもらえることは嬉しい反面、『デビュー間もない僕で本当にいいのでしょうか?』という思いは正直ありました」と率直な胸の内を明かす。
甲冑を着た激しいアクションシーンも満載で、乗馬や長槍など初めて経験することも山ほどあった。しかもメガホンをとった本広克行監督からは冗談ぽくではあったが、何度も「この映画、圭佑にかかっているからね」と小声でプレッシャーを掛けられていたそう。
しかし、初尽くしだったものの、乗馬や殺陣などしっかりと準備する期間を与えられたことで役づくりにおいては不安がなかったとも。台本を含め、丁寧に役柄に向き合うことができたぶん「やれることはやった」とクランクインのときには迷いがなかった。撮影中は、監督やキャストたちと現場で意見交換を交えながら、思い切り役柄に没頭できたという。
この言葉通り、劇中では底知れぬ力を持つ悪役として、新田演じる主人公・西野蒼らの前に立ちはだかった。クランクアップ後、本広監督を「圭佑は今後、キラキラ映画には出ないで、一生ヴィランでいてほしい」と言わしめた。
確かに本作を含め、昨年放送されていた「MIU404」では動画配信サイトで一攫千金を狙う謎めいた青年を、さらに今年1月期に放送されたドラマ「直ちゃんは小学三年生」では、ロン毛に半ズボンの小学三年生を演じるなど、一癖も二癖もある役を演じることが多い。
「その点はすごくありがたいと思っています。役者さんって本当にたくさんいますし、僕ら世代でも格好いい人は山ほどいる。そんななか、今回の悪役や変わり者のような役をいただけることで幅が広がる。僕自身も楽しいですし、やれるものならどんな役でもやっていきたいです。NGなしというのが僕のウリなので(笑)」
さらに、25歳で俳優デビューしたということも自身にとっては、一つの武器と捉えているようだ。
「キャリアについては、僕が所属しているアミューズで言うなら、同い年の神木隆之介大先輩などは2歳から芸能活動をしているわけで、そこは埋めようがないものがありますよね。時間は戻らないので、それを嘆いてもしょうがないわけで……。逆に僕は24年間ずっと誰の目も気にしないで、普通の社会経験をしてきた。その経験は強みになるのかなと思っているんです」
本作では、事務所の先輩である三浦春馬さんとの共演を果たした。劇中、あまりシーンを共にしたことはなかったというが「乗馬の練習などでご一緒させていただくことが多く、そのときはとても優しく声を掛けていただきました。すごく温かい人だなと感じていました」と振り返る。
特に感銘を受けたのが、春馬さんと新田が対峙するシーン。「僕はあのシーンがこの映画のなかで最高のシーンだと思っています。二人にしか出せない空気感というか、お互いが信頼し合っていないとできない芝居だと思うんです」としみじみ語ると、役のみならず人と人としてもしっかりコミュニケーションをとり、絆を深めることが「良い芝居」に繋がることを学んだという。
俳優デビューから3年。ハイスピードで出演を重ねている印象だが「周囲の反応と自分の感覚が追いついていない」と正直な思いを吐露し、“強み”と話していた一般的な感覚は「絶対なくさないようにしたい」と強い口調で語る。「僕にとって故郷の仙台は、どんなことがあっても100パーセントありのままでいられる場所。これからどれだけ忙しくなっても定期的に地元には帰りたいです」と笑顔を見せていた。
本作を含め、今年も躍進が期待されるが「まだまだ先が見えないご時世なので、今は目の前の仕事に、これまで以上にきちんと準備し、しっかりと集中して臨みたい」と地に足をつけて俳優業に向き合うことを誓っていた。(取材・文・撮影:磯部正和)