アニメオタクの愛と孤独『よい子の殺人犯』日本上陸
心優しいアニメオタクの主人公を通して台湾社会の闇を描く映画『よい子の殺人犯』(原題:最乖巧的殺人犯)が、新宿K's cinemaで行われる特集上映企画「台湾巨匠傑作選2021」にて、4月28日より公開される。
実話にヒントを得た本作は、貧困家庭や引きこもりなどの社会問題も含んだ意欲作。日本のアニメ「ボビッター」に夢中の主人公アナンは「ボビッター」マニアの女の子に恋をするものの、思いも寄らないことが起こり失意のどん底に。そして母親と認知症の祖父と暮らし、突然博打で失敗した叔父が乗り込んで来た家庭ではとんでもないことが起こる。
小学生が路地裏で発見した着ぐるみの中に遺体が……というショッキングな描写から始まる予告編。恋するアナンのキラキラしたまぶしい姿とは裏腹に「彼はなぜ、殺意を抱いた?」と一転する字幕が入る。不気味な笑顔を見せるアナン。暴力と搾取、愛と孤独などのキーワードが次々に畳み掛ける。
主演はホアン・ハー(黄河)。本作で新境地を開拓し、繊細な青年が追い込まれて爆発する演技に多くの人が称賛を送っている。(編集部・小松芙未)