石井杏奈、心身ともに辛い役とリンクし「泣きそうに」
女優の石井杏奈が10日、都内で行われた映画『砕け散るところを見せてあげる』公開記念舞台あいさつに登壇し、心身ともに辛いキャラクターを演じきった撮影を振り返った。この日は、石井とダブル主演を務める中川大志、共演の矢田亜希子、堤真一、SABU監督も来場した。
本作は、アニメ化された「とらドラ!」「ゴールデンタイム」などの竹宮ゆゆこの長編小説をもとに、正義感の強い高校3年生の濱田清澄(中川)が、みんなから嫌われている1年生の蔵本玻璃(石井)をいじめから救おうと奮闘する姿を描く物語。
精神的にも肉体的にも辛い役柄を演じた石井は、役づくりについて問われると、「現場の空気などによって臨機応変に対応したいと思っていたので、こうやろうと決めずに現場でやりながら作っていました」と回答。また、「セリフを全部入れて、本番でそれを忘れるということを繰り返しやっていました」と撮影現場では完全に玻璃として生きていたことも打ち明けた。
そんな玻璃の父親を演じた堤は、「(今日は)オレンジで華やかな感じ。(撮影中は)衣装とか雰囲気が暗かったけど、こうやってどんどんお美しくなられて……可愛いわ」とデレデレ。「撮影中はほとんどしゃべらなかったもんね。すごい集中している感じだったから。現場ではペラペラしゃべる方ですけど、邪魔しちゃいけないと思って」と撮影時の様子も明かした。
すると石井は、玻璃が父親から暴力をふるわれるシーンがあることから、「堤さんは(撮影中は)別人で、目の前にいたときは本当に怖くて……。だから今日は普通にしゃべれてうれしいです」とにっこり。続けて、「堤さんとお芝居をしているときは、心の中では『お父さん』と(恋しく)思っているんですけど、実際には距離があって、家族なのに離れているという玻璃の葛藤がリアルに感じられて泣きそうになりました」と回顧し、「その(自分と堤の)関係が役に出ていたのかなと思います」と距離感を保ってくれた堤に感謝も示した。
原作を読んで同役を好きになったという石井は、「いじめられたり、不器用な部分はいっぱいあるけど、玻璃ちゃんから愛をたくさん感じました。だから演じるうえで、いろんな人に愛を与えていかなければいけないと思ったので、自分が一番玻璃を愛して、苦しいシーンでも玻璃と一緒に頑張って戦いました」と難役を演じきった充足感をのぞかせていた。(錦怜那)