大友啓史監督『るろうに剣心』とにかく早く観てほしい
2012年に第1作が公開された映画『るろうに剣心』シリーズが、4月23日公開の『るろうに剣心 最終章 The Final』、6月4日公開の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の2作品で完結を迎える。大友啓史監督が取材に応じ、「シリーズの総決算」と位置付ける今作について思いを語った。
和月伸宏による人気コミックを、佐藤健を主演に迎えて大友監督が実写化した本シリーズ。原作ファンも納得の世界観、他の追随を許さない圧倒的なアクションなどが人気を博し、シリーズ累計の興行収入は125億円を超える。新作の『The Final』では主人公・緋村剣心(佐藤)と最恐の敵・雪代縁(新田真剣佑)の激突が、『The Beginning』では剣心の過去、そして頬にのこる十字傷の物語が描かれる。
元々は昨年7月、8月での公開を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて公開延期となった。誰にとっても初めての状況に配慮しながらも、大友監督はいよいよの公開が待ちきれないといった様子。「公開時期を自分たちでコントロールできないという状況は初めてです。とにかく一刻でも早く観客のみなさんに観てほしい。いつも『観てほしい』という思いはすごくありますが、今回は何十倍も強い気がします。公開延期ってけっこうストレスたまるんだなと」
「僕らにゴールはいくつかあって、作品を完成させることもそうですが、公開こそが本当のゴールのひとつ。お客さんに観てもらって初めて映画が成立すると、改めてつくづく感じました。この作品を観てもらわないと次にいけないというか。お客さんにどう受け止めたられたかをちゃんと知って、それを消化したうえで次に進みたいんです」
NHKで「ハゲタカ」「龍馬伝」などを手がけた大友監督にとって、2012年公開の『るろうに剣心』は、NHK退局後の1作目。自身にとって重要な作品である『るろうに剣心』シリーズの、総決算となるのが『The Final』『The Beginning』であり、「ある思い」を持って作品にのぞんでいた。
元々オリンピックと公開の時期が重なっていたこともあり、「撮影現場でも、オリンピックに負けないと思ってやっていました。アスリートたちが見せる本物の感動に対して、僕たちが作るフィクションの感動がどこまで対抗できるのか、『フィクションの意地を見せてやる』と思っていたんです」。
取材の冒頭、作品への感想を述べようとする記者に向かって、そのパワフルさに「すごく疲れたでしょ」と大友監督は不敵に笑った。「作品が公開されたら、たぶんまた、それぞれにとって見える景色が変わると、撮影現場でもスタッフに言ってきました。かなり強靭な作品が撮れたと思います。撮影している時点ではとにかく無我夢中だったので、クオリティーに対する確信はありませんでしたが、今、試写を観終わった周囲の関係者の方からの声を聞くとやっぱり『とんでもないものができたんじゃないかな』と。でも身内の感想はお世辞かなって疑ってしまうので(笑)、早くお客さんに観てほしい。そして色々な感想を聞かせてほしいですね」。(編集部・海江田宗)
『るろうに剣心 最終章 The Final』は4月23日、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は6月4日より公開