細田守監督『竜とそばかすの姫』声優に成田凌、染谷将太、玉城ティナ、幾田りら
細田守監督の新作『竜とそばかすの姫』(7月公開)で主人公の同級生を演じる声優キャスト4名が7日、東宝株式会社より発表され、音楽ユニット・YOASOBIのボーカルikuraとしても活動するシンガーソングライターの幾田りらが本作で声優デビューすることが明らかになった。幾田が演じるのは、主人公の親友でネットを使いこなす毒舌な女子高生。オーディションで出演が決定した幾田は演技自体も初挑戦となり、「初めての声のお芝居でプレッシャーもありましたが、実際にアフレコが進んでいく中で、皆さんともコミュニケーションを取らせていただき、ヒロちゃんを通して私自身も成長させてもらえたのではないかと思います」とコメント。俳優の成田凌、染谷将太、玉城ティナの参加も決定しており、玉城もアニメ声優は初。主人公の女子高生すず(歌姫ベル)の声優は発表されていない。
【写真】成田凌×染谷将太×玉城ティナ×幾田りら『竜とそばかすの姫』アフレコ風景
本作は、過疎化が進む高知の田舎町で父と暮らす17歳の女子高生すずが、全世界で50億人以上が集う超巨大インターネット仮想世界<U>に歌姫「ベル」として参加し、未知との遭遇を経て成長していく物語。
声優初挑戦の幾田が演じるのは、主人公すずの良き理解者であり親友のヒロちゃん。すず=ベルの正体を唯一知るキーパーソンで、すずを<U>へと誘い、歌姫ベルとしてプロデュースする役どころ。自身の持つふんわりとしたイメージとは打って変わって、毒舌冴えわたる女子高生役に挑む。声を聞いた監督は「聞いたことのない声。活舌がとても良く、プロの声優のよう。初めてやるとは思えない!」と絶賛したという。
主人公すずの幼馴染で、女子たちから絶大な人気を誇るミステリアスな雰囲気のしのぶくんを演じるのは、連続テレビ小説「おちょやん」でヒロインの元夫・天海一平役も話題の成田凌。コロナ禍で延期された『くれなずめ』も含めると、今年公開の映画は4本にのぼる。アニメ映画での声優としては、新海誠監督の『君の名は。』『天気の子』で同じ役を演じているほか、『ONE PIECE FILM GOLD』などがある。
カヌー部を一人で立ちあげ、インターハイを目指すアツイ男子生徒・カミシンを演じるのは、昨年から今年にかけて大河ドラマ「麒麟がくる」の織田信長役で世を沸かせた染谷将太。細田作品は『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』に続き3作目。アニメ声優は『バケモノの子』以来6年ぶり。
吹奏楽部でアルトサックスを吹くモデルのような女の子で、人気者のハイスペックガール・ルカちゃんに、モデルとしても活躍し、映画『Diner ダイナー』『地獄少女』などで存在感を発揮した玉城ティナ。本作にはオーディションで選ばれた。
なお、本日(7日)より東宝MOVIEチャンネルでは本作の完成までを追う特別密着映像の配信をスタート。毎週金曜19時に配信される。
成田、染谷、玉城、幾田のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
成田凌(久武忍/ひさたけ・しのぶ)役
細田監督の作品をずっと観ていたので、今回初めてご一緒して、演出をして頂けるのはとても嬉しかったですし、貴重な時間だと思いながら、毎日を過ごしていました。監督はすごく優しくて、「成田くんならどう思う?」と優しいアプローチの仕方をしていただいたので、言って下さることも分かりやすかったです。もちろん妥協しない部分もたくさんありますし、僕が「今の大丈夫かな...」と思ったところが、意外に「今の良かったよ!」と言ってもらえたりもして、監督の中に常に正解があるんだなと思いながら、アフレコしていました。僕が演じるしのぶくんは、久々に高校で再会するすずの幼馴染で、すずが抱える悩みも唯一知っている男の子です。すずに寄り添いながら、そっと近くにいてあげられるのは自分だと思っているのですが、すずからしたら、ちょっと遠い存在にいるような人で……。なかなか難しい関係性ではありつつも、そのちぐはぐさが、演じていておもしろかったです。自分のアフレコが終わった後、ベル役の方が歌うと聞いたので、残って聴かせてもらったのですが、凄すぎましたね...。映画館で聴いたらどうなるんだろう……と想像しましたし、あの歌声を壁一枚挟んで聴けたのは、すごい体験で、自慢できるなと思いました。主人公の心の持ちようで歌い方も変わっていくのですが、そこを表現できるベル役の方は本当に素晴らしいです。今作の見どころは、やっぱり何と言ってもベルの歌だと思います。
染谷将太(千頭慎次郎/ちかみ・しんじろう)役
細田監督の作品はずっと観ていて、毎回感動させて頂いてます。今回呼んで頂き、とても嬉しかったです。監督が、カミシンは、その場の空気というか、温度がガっと上がるような存在だけど、元気なだけじゃなく、ある種どこか天然で、読み切れない部分があり、そこを表現してほしいとおっしゃっていて、ただ元気なだけではなく、繊細な部分は繊細に、いいグラデーションが出せるよう、魅力的なキャラクターを台無しにしないように演じました。普段は自分の顔が出るお芝居が多いので、監督がおっしゃっているニュアンスを声で体現するのは、改めて難しいなと思いましたし、求められるレベルに応えるのに必死でした。アフレコ自体は短い時間でしたが、とても濃厚な、良い経験をさせて頂きました。監督の作品は、自分を認めてくれているような、「人間いろいろあるけど、それでもいいよ」と優しい言葉をかけてもらっているような気がして、そこがグッときます。背中を押してもらえるような、自分にとっても大切な作品が多いです。今回はアクションやファンタジー要素も多いですし、純粋にエンターテインメント作品として楽しめながら、みんなが抱えているものだったり、人としての闇の部分であったり、そこもちゃんと描いた上で、見ごたえのある作品になっていると思います。実際完成したアニメーションにベルの歌声が響くのも、今からものすごく楽しみです。
玉城ティナ(渡辺瑠果/わたなべ・るか)役
細田さんの作品は、以前から、新作の発表を待ち望んでいたので、オーディションでこの役が決まった時は、嬉しかったですし、初めてのアニメ声優のお仕事が、細田さんの作品でとても光栄です。脚本を読んでいても、惹きつけられる部分が多く、ルカちゃんとして作品に貢献できればと思っています。私が演じるルカちゃんは、皆から好かれていて、クラスの中心にいる目立つタイプの女の子ですが、物語が進むにつれ、表面的な部分だけじゃなく、内面も見えてくるキャラクターです。ただかわいいだけの女の子ではないので、自分としてもしっくりきましたし、そんな子を演じられて、とても嬉しかったです。「どんな子だろう……」と自分なりに考えていましたが、現場で監督がその都度アドバイス下さるので、安心して臨めました。『サマーウォーズ』でもインターネットの世界が舞台でしたが、今作は、それが当たり前となった2021年という時代にピッタリですし、自分の居場所が、今いる場所じゃないところにもあるのかもしれない……と思っている方もたくさんいらっしゃると思うので、きっと誰でも感情移入して観られると思います。
幾田りら(別役弘香/べつやく・ひろか)役
私の演じるヒロちゃんは、喜怒哀楽が豊かなタイプで、一つのセリフの中だけでも、強弱や変化が多いので、声の高低差や言い回し、細かいニュアンスをつけるよう意識しました。どこかプロデューサー的な、放っておけないすずの手を引っ張っていくような女の子ですが、とにかくすずが大好きで、応援したくてという愛の部分が大きく、そこを真摯に表現したいと思いました。細田監督から「聞いたことのない、他にない声だね。ヒロちゃんのこの声は、きっと作品の味になると思う」と言っていただき、その言葉に応えられるよう頑張りました。初めての声のお芝居でプレッシャーもありましたが、実際にアフレコが進んでいく中で、皆さんともコミュニケーションを取らせていただき、ヒロちゃんを通して私自身も成長させてもらえたのではないかと思います。普段、音楽活動をしていてマイク前に立つことは多いですが、声優さんや俳優さんの方々と並んでやることはもちろん初めてで、同じマイク前でも今までとはまったく違う感覚でした。ブース内に一人ずつ仕切りがありましたが、それを飛び越えてくるような熱量を感じ、特に激しいシーンは、部屋全体の空気感のまま演じるように気を付けました。すず役の方とは初日から一緒で、一言目のセリフから「すずだ!」と思ったのが、印象に残っています。ベルの歌声も素晴らしくて鳥肌が立ち、ご本人の感情が高ぶって声に現れる感じが、マッチしていて、感動しました。監督の作品はどれも映像が美しく、今作でも<U>の世界や現実世界の風景も細かい所までとても美しく描かれているので、その絵の中で自分の声のキャラクターが動くと思うと感無量です。完成を楽しみにしています!