須藤蓮、渡辺あや脚本のラブストーリーで監督デビュー!「ワンダーウォール」コンビ再び
俳優の須藤蓮(24)が、ドラマ「ワンダーウォール」で組んだ渡辺あやが脚本を務める映画『逆光』で監督デビューを果たすことが13日、明らかになった。真夏の尾道を舞台に、三島由紀夫を媒介にした二人の青年の愛憎を描く官能的なストーリーで、主演も須藤が務める。7月17日より撮影地の尾道で先行上映されたのち、全国順次公開される。須藤は「この度、初めて映画を撮りました。企画の立ち上げからお金の計算まで、全て自分達でやるんだ! と意気込んで始めたものの、まさに『言うは易し、行うは難し』、その大変さは想像をはるかに上回るものでした」と撮影を振り返っている。
【写真】オーディションで主演に抜擢!「ワンダーウォール」場面写真
舞台は1970年代、真夏の尾道。大学の先輩である吉岡を連れて帰郷する22歳の晃(須藤)は、好意を抱く吉岡のために実家を提供し、夏休みを共に過ごそうと提案。先輩を退屈させないために晃は女の子を誘って遊びに出かけることを思いつき、幼馴染の文江や少し変わった性格のみーこの4人でつるむようになるが、吉岡はみーこへの眼差しを熱くしていき、晃を悩ませるようになる。
須藤は、2018年にNHK BSプレミアムで放送された京都発地域ドラマ「ワンダーウォール」で主演に抜擢。連続テレビ小説「なつぞら」(2019)、大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019)などに出演し、「ワンダーウォール」は2020年に劇場公開された。
脚本を手掛けるのは、映画『ジョゼと虎と魚たち』やNHK連続テレビ小説「カーネーション」などで知られ、現在、松坂桃李主演のNHKドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」が放送中の渡辺あや。須藤とは「ワンダーウォール」で知り合い、この作品で尾道を訪れたことがきっかけになり着想を得て、オリジナル脚本を書き下ろし。須藤が自ら監督を手掛ける自主企画映画として制作されることとなった。音楽を、朝ドラ「あまちゃん」や、大ヒット映画『花束みたいな恋をした』などの映画音楽を手がける大友良英が担当。エグゼクティブプロデューサーは、渡辺と『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』などで組んできた小川真司。
共演者に中崎敏、富山えり子、木越明(きごしあき)、SO-RI、三村和敬、河本清順、松寺千恵美、吉田寮有志。晃が憧れる大学の先輩・吉岡に『ワンダーウォール』『花束みたいな恋をした』の中崎敏。新人の木越明がオーディションを経て初の本格的な演技に挑む。
なお、13日より本作のクラウドファンディングが開始される。
監督・主演の須藤、出演の中崎、企画・脚本の渡辺、エグゼクティブプロデューサー・小川のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
映画『逆光』は7月17日尾道にて先行公開、全国順次公開
監督・主演:須藤蓮(すどうれん)
この度、初めて映画を撮りました。企画の立ち上げからお金の計算まで、全て自分達でやるんだ! と意気込んで始めたものの、まさに「言うは易し、行うは難し」、その大変さは想像をはるかに上回るものでした。正直なめてました。一方で、ただただ自分の感覚と仲間たちの才能を信じながら突き進んできたこの数ヶ月、鬱屈していたエネルギーがぐるぐると循環し、満身創痍になりつつも物を作る喜びを噛み締めた時間は、まさに青春そのものでした。僕は自他共に認めるお喋り男なのですが、いざ作品について説明を求められると急に一つとして言葉が出てこなくなることに、自分でびっくりしています。なぜ、このあらすじなのか、時代設定なのか、カメラワークなのか、そもそもなぜ尾道で撮ったのか。どんな質問にも「どうしてもそうしたかったから」としか答えようがなく、それはちょうど恋心を説明できないようなものなのかもしれないと思っています。言葉にならない僕の宝物、「逆光」をぜひ劇場で観ていただけたら嬉しいです。
出演:中崎敏(なかざきはや)
この作品のイン前、監督須藤蓮は「衣装、ロケ地、撮り方全部最高のものを用意してあるので絶対に魅力的に撮ります」と力強く言ってくれました。その真っ直ぐな目と愚直なまでの行動力は疑念を生む一切の隙を許さず、自分のみならず周りを惹きつけて更にポテンシャルを高めました。その言葉通り、細部までこだわり抜いた絵作りは画面に映る全てのものに光を当てその物の持つ生来の輝きを何倍にも膨らませます。大人になるにつれて陰の部分に物事の本質を見るようになりがちでしたが、それは光の当たる部分に魅せられているという大前提があってこそというのを思い出させてくれました。須藤蓮の初監督作品、五感をフルに使ってお楽しみください。
企画・脚本:渡辺あや
一度でいいから、どこからの依頼でもなくなんの企画会議も通さず、ただ純粋に「作りたい」という理由で作品を作ってみたいものだと思いながら、そんな自由は叶わぬ夢だと長らく諦めていました。ところが去年、突如「よし、そういうのを作るぞ」と思いたったのは、やはり緊急事態宣言下という、あらゆる仕事が吹っ飛び、日常がすべて崩壊したような時間の中で、それはかつてなく切実な、作家としての生存本能のような衝動だったと思います。そうして須藤蓮監督とお互いの持続化給付金を持ちよって、若い役者やスタッフたちに声をかけ、ただ「自分たちが作りたいものを作る」ことを唯一のルールとして、この世に生まれてきたのがこの「逆光」です。闇の中にみずから土を持ち上げて芽吹く緑が時々底知れぬ力を見せてくれるように、本作もその完成に至るまでの過程の中で、びっくりするような希望の景色を私にたくさん見せてくれました。本作のそんな生命力が、これから誰かの心に「生きたまま届く」ことを夢みて、ワクワクしております。
エグゼクティブプロデューサー:小川真司
「逆光」のラッシュを初めて見たときの印象は鮮烈だった。正直、須藤蓮がここまでちゃんと監督できるとは想像してなかったので、編集で意見を求められたときにはかなり真剣に応えてアドバイスした。結果、その流れで公開の手助けをすることになったわけだ。しかし何やらこれは必然だったように思えて仕方ない。繊細に構築された作品世界に魅力があったというのももちろんあるのだが、コロナ禍に遭った時代の節目にあたる今、「匂い」や「手触り」を主たる豊穣さとする「映画」を持続可能にするために、制作から公開までまるっとリノベーションしようという「映画ゲリラ」と呼びたくなるような無謀な志がこんなところから出てきたのかという発見に心が躍ってしまったのだ。「逆光」は時代に逆行しているようで逆行していない。それを証明できるのは、私と同じように時代に差し込まれる光を待ち望んでいる映画ファンなのだと信じている。同志よ、来れ!