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『るろうに剣心 最終章 The Beginning』衝撃の斬殺シーン誕生秘話…狂気の剣心はこうして生まれた

完膚なきまでに人を斬り殺していく“狂犬”緋村抜刀斎
完膚なきまでに人を斬り殺していく“狂犬”緋村抜刀斎 - (C) 和月伸宏/集英社 (C) 2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning」製作委員会

 映画『るろうに剣心』シリーズのアクション監督を務める谷垣健治がインタビューに応じ、6月4日に公開となったシリーズ完結作『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で観客に植え付けたかったという狂気に満ちた緋村抜刀斎や、シリーズ史上最も衝撃的な冒頭の斬殺シーンについて、アクションの視点から裏側を語った。

【画像】狂気…血まみれの刀で人を斬り殺す『The Beginning』の緋村抜刀斎

 動乱の幕末で“人斬り抜刀斎”として恐れられた主人公・剣心(佐藤健)が「不殺(ころさず)の誓い」を立てた理由、そして彼の左頬に刻まれた十字傷の謎が明かされる『るろうに剣心 最終章 The Beginning』。4月23日に先駆けて公開された『るろうに剣心 最終章 The Final』と本作の決定的な違いは、剣心が使う刀の種類だ。『The Final』の剣心は、これまでのシリーズ同様、逆刃刀(刃と峰が逆向きに打たれた刀)で敵を殺さずに倒していくが、『The Beginning』の剣心は、日本刀を巧みに扱いなから、人斬りとして完膚なきまでに敵を斬り殺していく。

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 テイストが全く違う2作において、谷垣は「剣心が使う刀の違いを徹底して描いたら自ずと面白くなると思った」と振り返る。「逆刃刀は斬れない刀なので、敵を何回も叩かないと倒れない。連撃という形で、2発も3発も攻撃を当てていくんです。一方で、日本刀は斬れば死ぬ。『連撃』と『斬撃』の差ですね。当然出血もしますし、首や腕も斬り落とされます。『最終章』ではその違いを探ろうとしました。日本刀は“瞬殺”とよく言われますが、一撃で終わってしまうとアクションとして面白くならないので、そこはとても気を使いつつやりました。その結果、刀を入れた時の擦らすアクション、首や手首、足首などの肌が見えている部分を斬っていくと痛みを印象付けることができると思ったんです。『The Beginning』では“斬って死ぬ”ということを、違う方向で見せたかった。どうすれば面白く見せられるのか、アクション部で考えていきました」

 メガホンを取った大友啓史監督から伝えられたのは、「この時代の剣心は狂犬だ」ということ。本作の剣心が狂気に満ちた暗殺者であることは、冒頭数分で観客にも伝わってくる。全身を縄で結ばれた状態で登場した剣心は、突如敵の耳を噛みちぎり、縄で縛られた状態のまま、刀を口に加えて敵を斬り倒していく。敵が次々と血祭りに上げられていく冒頭のシーンは、シリーズ史上最も衝撃的なアクションシーンといっても過言ではなく、観客に恐怖すら植え付ける。

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 「冒頭で衝撃を与えなければいけない」と語った谷垣は、「縄で結ばれた抜刀斎が、どうやって動き出すのかわからないといった時に、まず耳を食いちぎってみせます。このつかみは大事で、その衝撃の描写を以って『The Beginning』というのはこういった映画だからね、そこんとこよろしくねと、観客に訴えかけるんです」と説明。「さっきまで縄で繋がれた男が、人々を血祭りに上げていきながら刀を持つ。今回の剣心が幕末の一番狂犬だった頃の剣心だよ、というのを、観客に植え付けるように試みました」と冒頭シーンでの演出の狙いを明かした。

るろうに剣心
「刀を口に咥える」演出はアクション部のメンバーが考案 - (C) 和月伸宏/集英社 (C) 2020 映画「るろうに剣心 最終章 The Final / The Beginning」製作委員会

 アクションにおいて挑戦的だったのが、剣心が刀を口に咥えて人を斬る演出だ。谷垣は「全部がバイオレンスな描写だと面白くないし、一瞬であっけなく終わってしまうのも僕は嫌だった。そこで許される範囲のフィクションとして、刀を口に咥えて人を斬りまくるというところに行き着きました」と明かすと、「抜刀斎が口で斬っていく部分は、首やお腹といったように、全て急所だけです。どうやったら相手を殺せるかだけを考えているわけですから、ムダな動きがまったくないんですよね。気がついた頃には相手の刀を利用して自分の縄を切り、刀を奪っている。だから手数としてはすごく多いし、密度があるけど、お客さんの体感としては一瞬の出来事に見える、というのが僕なりの“瞬殺”へのアンサーでした」と自信をのぞかせる。

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 ちなみに、この「刀を口で咥える」というアイデアはアクション部のメンバー考案とのこと。谷垣は「手が塞がれているので、足の指で掴むか、口で咥えるかですよね。あの時代の剣心がやったらカッコいいだろうなと思いました。『不殺の誓い』を掲げる明治以降の剣心なら絶対にやらないですからね(笑)」と『The Beginning』だからこそできた演出だと述懐。また、谷垣が武術指導として携わったドニー・イェン主演映画『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』(2010)にも影響を受けたそうで、「ドニー演じる主人公が戦場でナイフを口に咥えて戦う演出がカッコよくて、いつかやりたいなと思っていたんです。まあね、ヒーローは何か咥えるとカッコいいんですよ(笑)」と笑顔で語っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は全国公開中

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