柳楽優弥&瀧本美織、『HOKUSAI』のキスシーンは「女性の強さ感じる」
俳優の柳楽優弥と瀧本美織が28日、視聴者参加型インターネット生放送「共感シアター」で生配信された映画『HOKUSAI』(公開中)のオンライントーク番組に出席。北斎と妻コトのキスシーンについて、それぞれ「女性の強さを感じることができる。今の時代でも共感できるシーン」「男女逆転したような感覚になった」と振り返った。この日は北斎のライバルとなる美人画の大家・喜多川歌麿を演じた玉木宏、そして橋本一監督も来場した。
本作は、「冨嶽三十六景」などで知られる浮世絵師・葛飾北斎の謎に包まれた生涯を描いたドラマ。柳楽優弥と田中泯がダブル主演を務め、北斎の青年期、老年期をそれぞれ演じている。「今だからこそ映画『HOKUSAI』をニッポンに届けたいスペシャル!!」と題したこの日の配信番組では、出演者たちが選ぶ「わたしの好きな『HOKUSAI』イチ推しシーン」を、視聴者と共に鑑賞。出演者たちが該当シーンの裏話を語ると共に、視聴者からの質問にも答える内容となった。
柳楽が好きなシーンとして選んだのは、「ベロ藍と呼ばれる青い絵の具を手に入れた老年期の北斎(田中泯)が、興奮のあまり雨の中に飛び出していく」シーン。橋本監督によると、このシーンはもともと「絵の具を水で溶いて色を確かめる」という流れを想定していたが、田中のアイデアにより、雨の中で絵の具を顔いっぱいに浴びるシーンに変更。その結果、絵に人生を捧げてきた北斎のこの上ない喜びを力強く表現したパワフルなシーンとなり、橋本監督は「終わった後は全スタッフが拍手喝采でしたね」としみじみ振り返った。玉木も「思わず見入ってしまいました。パワーをすごく感じますし、すばらしいですね」と感激した様子だった。
北斎の妻コトを演じた瀧本は「沈み込む北斎を励ますように、妻のコトが北斎にキスをするシーン」をセレクト。しかし、自身のキスシーンを番組内であらためて見るシチュエーションに瀧本は「自分で選んでおいてなんですが、照れてしまいました」と恥じらいを見せつつ、「でも(北斎を)叱咤激励するこのシーンは、男女逆転したような感覚になったというか。わたしが(北斎のことを)守らなきゃと思いました。いいシーンですよね」と話していた。このシーンについては柳楽も「女性の強さを感じることができる。今の時代でも共感できるシーンだと思います」と推していた。
実は、もともとこのキスシーンは台本にはなかったそうで「当日、京都入りした時に監督がこのシーンを加えようと思った、ということで、できたシーンなんですよ」と明かした瀧本。玉木も「今思えば、このシーンはあって正解です」としみじみ付け加えた。
橋本監督によると、本作にはカットされた未公開シーンがあったという。「北斎の住んでいる長屋の横に若夫婦がいて。朝から晩までエッチなことをしている場面があったんですよ。そして向かいの家の親父が自分の子どもを虐待している。そんな中でも北斎は一心不乱に絵を描いている、というシーンを撮ったんですけど、尺と長さを考えるとカットするしかないなと思ったんです」とのこと。柳楽は「そこはカットされたので、『HOKUSAI』でセクシーなシーンは、玉木さんの出ている(遊廓の)シーンですよね」と言い、その言葉に「そう、セクシー路線でしたね」と笑った玉木も、「北斎を演じるのもすごいですけど、歌麿を演じるなんてことがあるんだなと思いましたね。でも女性を描くのが得意な人なので、(歌麿が花魁の絵を描くシーンは)濡れ場に近い気持ちで挑みました」と振り返っていた。(取材・文:壬生智裕)