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江口洋介『るろ剣』原作を超える斎藤一へ

『るろうに剣心』シリーズ1作目から斎藤一を演じてきた江口洋介
『るろうに剣心』シリーズ1作目から斎藤一を演じてきた江口洋介 - 写真:高野広美

 映画『るろうに剣心』シリーズ最終章となる『るろうに剣心 最終章 The Final』が4月23日に封切られ、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は、いよいよ6月4日より公開となる。シリーズ1作目から、主人公の剣心と因縁の関係にある斎藤一を演じてきた江口洋介は、「ファンの人たちを裏切りたくないという思いで、ここまでやってきた。最後までやり切ったという感じがあります」と走り抜けた日々を振り返り、充実感をみなぎらせる。斎藤の魅力は“一匹狼”なところだという江口が、人気キャラを演じる苦労や、役柄との出会いがもたらしたものを明かした。

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■2部作を一度に撮影!新選組時代の斎藤一は「新鮮な気持ちで演じた」

 和月伸宏のコミックを原作にしたアクションシリーズの最終章が、2部作として連続上映される。かつて“人斬り抜刀斎”として恐れられながらも、二度と人を斬らないと誓った緋村剣心(佐藤健)が、自身の過去と深く関わる最凶の敵・縁(新田真剣佑)との戦いに挑む『The Final』。シリーズ1作目より過去にさかのぼり、剣心の頬に刻まれた十字傷の謎に迫る『The Beginning』。撮影も2部作連続で行われ、その期間は7か月にも及んだ。

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 江口演じる斎藤は内務省警視局の警官で、元新選組の一員という過去を持つ男。これまでのシリーズでは、くわえタバコにタイトな制服というクールな佇まいがトレードマークだったが、『The Beginning』では着物に身を包む新選組時代の斎藤がお目見え。2つの時代の斎藤を演じる上では、クランクイン前に「これは心して入らなければ」と覚悟したそうで、「なかなかの旅でしたね」と過酷な撮影を懐かしむ。

 「緊張を切らさぬようにして、さらにスタイルの維持も心がけなければいけない。『The Beginning』では、シリーズの1作目よりも前の時代に戻るわけですから、『俺、10代に見えるかな?』って。そういった不安もありました」と笑いつつ、「でも新選組の衣装を見た瞬間に、今までのタイトな制服姿とは佇まいも振る舞いも変わるので、『新鮮な気持ちでできるな』と思った。これまではブーツで殺陣をやってきましたが、着物に雪駄を履いた姿だと、着物が絡み付いたり、足元が滑りやすかったりといろいろな違いもありました。そのすべてを面白がって演じることができました」と楽しんで演じたという。

■「原作のイメージに近づけよう」から「超えよう」へと変化

 1作目からシリーズのキーパーソンとなる斎藤を演じきった江口だが、人気漫画の登場人物を演じるには、「特殊な役作りが必要だった」そう。「シャープな動きも必要なので、撮影前に走ったり、泳いだり」と身体作りにも励んだ。

 「当初は原作ファンの方たちにとっては、実写でやるとなると違和感もあったと思います。役者としては、原作のイメージも大切にしたいし、かといってコスプレに見えてしまってはいけない。さらに役柄の感情も見せていかなければいけませんでした」と苦労を吐露。「最初は容姿も含めて、原作ファンの方々の斎藤一のイメージに近づけよう、寄せようとしていました」と話す。

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 「『伝説の最期編』くらいから、『近づけよう』だったものが、『超えよう』という思いになっていったように思います」と続けるが、そのモチベーションの一番の原動力となったのは、「ファンの熱気」だという。「1作目がヒットして、2作目、3作目と続くにつれて、『楽しみだ』という声もたくさん届いてきて。愛情を持って、シリーズを楽しみにしてくれている人たちがいるという実感が持てました。アクションもより高度な見せ方をするものになっていきましたが、ファンの人たちの思いを裏切りたくないということが、なによりのエネルギーになりました」とシリーズを重ねるごとに限界に挑み、「そうやって進んできた今、なんの不安もなく最終章を送り出すことができます」と自信をのぞかせる。

■斎藤ー役がもたらしたものとは?

るろうに剣心
写真:高野広美

 斎藤役を通して最大のチャレンジとなったのがアクションで、江口は「ここまでのアクション映画をやる機会も、なかなかないですから!」とにっこり。「毎回、用意されるセットもスケールが大きいし、圧倒されますよ! スタッフへの信頼感のもと、これだけのアクション大作をやらせていただけたことは本当にありがたいです」と感謝を口にする。

 本シリーズの撮影現場には、“本物を映す”という心意気が満ちあふれていた様子で、「普通だったらCGでやるようなところも、全部本物が用意されますから。建物を実際に壊したり、火をつけたり。いろいろな場面でのアクションをやりましたが、スタッフがみんなプロフェッショナルで、安心感がある。だからこそ、芝居に集中できた。最高の環境ですよ」と撮影を振り返りながら熱く語る。そんな中でも思い出深いのが『京都大火編』冒頭の炎の中での立ち回りシーンとのこと。

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 「周りはすべて炎で、暑いなんてもんじゃない(笑)。木で組み上げられたやぐらがボーン! と倒れてきたりする中で立ち回りをするので、一発勝負。スタッフへの信頼感がないと絶対にできない。戦場のような現場ですよね。次から次へとスパーリングのようにアクションを撮っていく。そういった緊張感の集合体が、このシリーズのパワーになっていると思います。めちゃくちゃ贅沢な現場です」

 さらに座長である佐藤健とも、「現場に行って健が来れば、友情でもない、敵対でもない、付かず離れずの剣心と斎藤の関係がスッと作り上げられるようになった。それは積み重ねのおかげだと思います」と呼吸をピタリと合わせて撮影にのぞみ、「健の剣さばきはすごいからね! 様になるし、本当にハマり役。『最終章を作り上げるんだ』という気合もすごかった」と大絶賛。「これからこのシリーズが健の名刺代わりになっていく。それはきっと、スタッフも同じだと思うんです。『「るろうに剣心」をやれたなら、もっとできる』とさらに上がっていくんじゃないかな」と目尻を下げる。

 年齢を重ねるごとに深みを増し、“スクリーンの似合う俳優”となった江口。役者人生において、斎藤役との出会いは江口にどのようなものをもたらしたのか聞いてみると、「日本刀を持たせたら、結構やるよ! ということが見せられたかな」と楽しそうに微笑み、「『孤狼の血』でも、バッと日本刀を持って出てくる役をやらせてもらって。もしかすると(『孤狼の血』の)白石(和彌)監督が、僕にそういったイメージを持っていてくれたのかもしれない。役者って“二の線”のような役ばかりやっていたらなかなか次につながっていかないものだし、斎藤役がまた新しい可能性に結びついているとしたら、とてもうれしいです」としみじみと語っていた。(取材・文:成田おり枝)

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