ウルトラマンティガの衝撃を再び…「ウルトラマントリガー」坂本浩一監督が目指す“令和版ティガ”の世界観
今年誕生25周年を迎える特撮ドラマ「ウルトラマンティガ」(1996~1997)の神髄を受け継ぐ新シリーズ「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」。本作のメイン監督を務める坂本浩一がインタビューに応じ、“令和版ティガ”とも称される本作の世界観や「ウルトラマン史上最も小顔」だと自負するウルトラマントリガーのビジュアルについて語った。
【動画】「ウルトラマントリガー」はティガのリメイク、リブートじゃない!坂本監督インタビュー
「ウルトラマントリガー」はティガのリメイク、リブート、続編ではない
「ウルトラマントリガー」は、ティガ25周年、ウルトラマン55周年という節目の年に誕生した記念すべき作品。「ウルトラマンギンガS」「ウルトラマンジード」のメイン監督を務めた坂本監督も、今までとは違うプレッシャーを抱いたそうで、「やはり、ウルトラマンティガは特別な作品じゃないですか。絶大的な人気のある作品ですし、25周年記念とのことで、ものすごいプレッシャーは大きいですね」と心境を明かす。
本作の世界観をゼロから構築していった坂本監督は、「どういう形でティガの要素を組み込んでいくのか」という部分で苦戦を強いられた。「既に完成された作品に何かを補足すると、蛇足になってしまう」と懸念する坂本監督は、「ウルトラマンティガ」のリメイク、リブート、続編ではない「新時代のティガ(NEW GENERATION TIGA)」を目指して、ティガ世代の若手スタッフにヒアリングを行いながら製作を進めていった。
「僕自身も『ティガ』を観た時は、世界観やスケール、斬新なタイプチェンジを含めて衝撃を受けました。既に同じ業界で仕事をしていた僕でさえインパクトを受けたので、当時の子供たちの受けたインパクトってすごいと思うんです。僕が子供の頃にウルトラ6兄弟を観た時の印象と大人になってから観たティガの印象、そして当時ティガを観ていた子供たちの印象って違うと思います。若いスタッフはティガ世代も多く、以前『ウルトラマンZ』でティガの要素を採用した際、『子供の頃どう思った?』とヒアリングをして当時の印象を聞きました。僕も当時のウルトラ6兄弟の印象が強く残っているので、作品を撮る時も当時の体験が生きるんです。そういう面を含めて、今回もヒアリングをしながら、やはりティガという作品が当時の子供や社会に与えた影響はすごく大きいということを感じました」
そして、辿り着いた答えが「ティガ放送当時に子供達が受けたインパクト、社会に与えたインパクトを今の時代に再現する」というアプローチ方法だ。「ティガファンの方々は、『続編なのか? リブートなのか?』と思っているかもしれませんが、本作は『ティガの社会現象を再現させる』という意味でティガの意志を受け継いだ作品なのです」と語る坂本監督。「ティガを知らない世代にもティガを知ってもらいたい」という思いも込められているという。
アメコミヒーローからヒントを得た、ウルトラマントリガーのビジュアル
坂本監督は、ウルトラマントリガーのビジュアルにもこだわりがあった。「皆さんお気づきかもしれませんが、ウルトラマントリガーは、ウルトラマン史上最も小顔なんです」と自信たっぷりに語る坂本監督は、時代と共にスーツが進化していくアメコミヒーローを参考に、ティガの神秘性を残しつつ、令和に相応しいビジュアルを追求していった。「スーパーマンなどのヒーローは、昔のイメージを保ちつつ、今風にアップデートされています。ウルトラマンでもそれができないかというのは前から感じていました。今回のトリガーに関しては、小顔かつスタイルを良く、さらに筋肉描写をうまく取り入れて、美しいボディーラインを作っています」
ウルトラマントリガーは、ティガのようにマルチ・パワー・スカイの3タイプを駆使して戦う光の巨人だ。「最近のタイプチェンジは、過去のウルトラマンの力や要素を加えたタイプチェンジが基本でした」と説明する坂本監督は、今回は「過去のウルトラマンの要素抜きでのタイプチェンジ」であることを強調し、「3タイプの違いがはっきりとわかり、各タイプの魅力が際立つようにこだわって描写しています」とティガのようなタイプチェンジの演出を目指していると語った。
また、本作にはウルトラマントリガーが使う神秘のアイテム「サークルアームズ」が登場する。サークルアームズはタイプチェンジによってソード、クロー、アローへと形状が変化するなど、主に戦闘武器として活用されるが、坂本監督曰く「サークルアームズは物語の発端となる事件や謎に関わってきます。そういう面で言うと、単なる戦闘武器ではないのかもしれませんね」という。「ニュージェネレーションヒーローズで取り入れている魅力的なアイテム描写も加わっていますし、単なる武器ではなくて、神秘的な要素を取り入れられるよう努力しています」。
他のウルトラマンと共闘する可能性も?「設定上可能な範囲で」
「ウルトラマンティガ」では、第49話で初代ウルトラマンとの共演が実現。他のウルトラマンとのコラボレーションは、「ウルトラマンギンガ」から続く“ニュージェネレーションヒーローズ”でも受け継がれ、別の次元から他のウルトラマンが駆けつけ共闘するエピソードが度々登場した。
他のウルトラマンとの共演は「ウルトラマントリガー」でも起こりうるのか? 坂本監督は「可能性はあると思います。ただ、明確に誰がいつというのは言えないですけどね」と明言を避けたが、「もちろん、ウルトラ6兄弟の頃からウルトラマンの客演回というのは盛り上がりましたし、ニュージェネでも共演は続けています。さらに『ウルトラギャラクシーファイト』ではさまざまなウルトラマンが入り乱れて戦っていて、今の子供たちにはそれもウルトラマンの魅力として浸透していると思います。『ウルトラマントリガー』でも設定上可能な範囲で、そういった共演話が今後出てくる可能性はあるかもしれませんね」と可能性はゼロではないと語っている。
“令和版ティガ”を目指して、新しい要素を次々と取り入れている「ウルトラマントリガー」。坂本監督は「『ティガ』を観ていた方々は、今回出てくる謎や要素の中で知っているものもあると思います。なので、一種の答え合わせといいますか『これがこうアレンジされているのか』といった確認として楽しんでほしいです」とティガ世代の視聴者へメッセージを寄せつつ、「逆に、ティガを知らない世代は、全てが新鮮に見えると思います。そこを色々と受け止めながら楽しんでほしいですし、まさにそれが僕の目指す『親子で一緒に楽しんでほしい』という一つのゴールです。親子での会話が自然と生まれますし、お父さんはティガを知っていて、息子さんもトリガーで知ることになる。色々な楽しみ方があると思いますよ!」と親子揃って楽しめる作品になっているとアピールした。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」はテレビ東京系にて7月10日スタート(毎週土曜朝9時~)