織部典成、耳が聞こえない女性とのラブストーリーで手話初挑戦「がむしゃらでした」
織部典成が26日、都内で行われた映画『僕が君の耳になる』の公開記念舞台あいさつに登壇し、ギターと手話に初挑戦したという本作について「とにかくがむしゃらでした」と振り返った。この日は梶本瑞希、森口瑤子、木村祐一、三浦剛、忍足亜希子、松井健太、寺田光、新宮明日香、HAND SIGN、榎本次郎監督、製作総指揮の瀬古口精良も出席した。
本作は、HAND SIGN の楽曲を映画化したラブストーリー。『アイ・ラヴ・ユー』などに出演したろう者の女優・忍足亜希子と、俳優・三浦剛との実話がモチーフとなっている。映画では、男子大学生と耳が聞こえない女性が恋に落ち、さまざまな障害を乗り越えながら成長していく姿を描き出す。
ダブル主演を務めるのは、新鋭俳優の織部と本作が映像作品初出演となったろう者の梶本。ステージに登壇した織部は「本日はお忙しい中、ありがとうございます。この作品が決まってから、ギターと手話に初めて挑戦することになって。とにかくがむしゃらでした。(三浦)剛さんをはじめ、たくさんの人に支えてもらいました。たくさんの方に届けばいいなと思うので、よろしくお願いします」とあいさつ。
続けて梶本も手話で「映画の初日はすごく緊張しました。でもみなさんのおかげで楽しめることができましたし、本当にしあわせな時間を過ごすことができました。楽しんで観ていただけたらうれしいです」と心境を明かした。
本作のモデルとなった三浦と忍足も出演し、手話指導という形でも作品に関わっている。「2年前の12月にプロデューサーから連絡をもらいました」と振り返った三浦は、「実際の我が夫婦の実話をもとに映画化されました。この映画には実際に我が夫婦が経験したこともいろいろと入っていますが、新たに HAND SIGN さんの素晴らしい曲と、川崎(龍太)さんのすばらしい脚本で映画化されました」とコメント。
忍足も「ヒロインの瑞希ちゃんを見て、わたしが映画デビューした時を思い出しました。彼女は一生懸命演技をやっていて。演技経験がないのに努力したんだなと思いました。この映画にも描かれていますが、聞こえる世界、聞こえない世界、それはわたしも本当に大変で悩みました。その時、実際にわたしも彼を振った記憶があります。でもこの映画のように再会しました。手話という言葉はすごく素晴らしいです。それを皆さんに観てもらって理解していただけたら」と手話への思いを明かした。
そして本作のメガホンをとった榎本監督が「皆さんがきっと経験したであろう純粋な恋愛ドラマということで、ろう者、健常者、関係なく、困難を乗り越えて愛し合う二人を描きました。瑞希ちゃんは、初演技なのにここまでやり遂げるってすごくないですか?」と客席に呼びかけると、会場からは大きな拍手が。イベントは盛況のうちに幕を下ろした。(取材・文:壬生智裕)
映画『僕が君の耳になる』はヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中