パンクブーブー黒瀬純『ザ・ファブル』で悪役怪演 ビジュアルと内面のギャップに戦慄
岡田准一主演のヒット作の第2弾『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(公開中)に悪役でシリーズ初参加した黒瀬純(パンクブーブー)。派手なアクションシーンがあるわけでもなく一見おとなしそうな風貌だが内面は残虐極まりなく、そのギャップが不気味な印象を放っている。
本作は、南勝久の人気コミックを実写映画化し、興行収入17.7億円のヒットを記録した『ザ・ファブル』(2019)のシリーズ2弾。「どんな相手も6秒以内で仕留める」伝説の殺し屋“ファブル”(岡田)が、「一年間誰も殺すことなく“フツーに”生きろ」とのボス(佐藤浩市)の命令に従い、相棒ヨウコ(木村文乃)と兄妹のフリをして穏やかに暮らすべく奮闘する。2弾では、ファブルが過去に因縁のある車いすの少女ヒナコ(平手友梨奈)や裏の顔を持つNPO団体代表・宇津帆(堤真一)らと予期せぬ“再会”をしたことから血なまぐさい事件が勃発していく。
黒瀬が演じるのは、ファブルを追う宇津帆に雇われた裏社会の男・井崎。ファブルのボスと付き合いのある海老原(安田顕)ら裏組織「真黒カンパニー」の元社員で、ヒナコや凄腕の殺し屋・鈴木(安藤政信)ら宇津帆の“チーム”の一員となり、若者をターゲットにした恐ろしい犯罪に手を染める。拳銃や刃物などは用いないが、護身用にスタンガンを所持。デリカシーがなく鈴木やヒナコに疎まれている。
井崎は、冷静で狡猾な宇津帆に比べると器の小さい小悪党といった感だが、思うようにならない状況に陥るとすぐさま攻撃に出ようとする無鉄砲さなどから、何をしでかすかわからない怖さがある。黒瀬は、そんな微妙な匙加減が求められる難役をナチュラルに演じてみせた。
黒瀬は、2001年に佐藤哲夫と共に「パンクブーブー」を結成し、M-1グランプリ2009、THE MANZAI2011で優勝。俳優としてはこれまで青春コメディー『TSY タイム スリップ ヤンキー』(2011)や2015年の連続テレビ小説「まれ」に出演(ゲスト出演)している。
なお、悪役と言えば黒瀬と同じくお笑い芸人の好井まさお(井下好井)が、前作に続きファブルのバイト先であるデザイン会社オクトパスの社員・貝沼悦司を怪演。過保護な母親に育てられ内気な性格。同僚で元グラビアアイドルのミサキ(山本美月)に歪んだ思いを抱き、盗撮など常軌を逸した行動に出るが、それが災いして思わぬ事態に巻き込まれていくこととなる。笑いが絶えないオクトパスの中で好井が異様な空気を醸し、狂気を爆発させる戦慄の場面で爪痕を残す。(編集部・石井百合子)