巨大医療汚職事件の闇を追う…話題のルーマニア発ドキュメンタリー『コレクティブ』公開決定
第93回アカデミー賞で国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされた話題のルーマニア映画『Colectiv(原題)』の邦題が『コレクティブ 国家の嘘』に決定し、10月2日よりシアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開されることが明らかになった。
本作は、東欧ルーマニア・ブカレストのクラブ「コレクティブ」で2015年10月30日に実際に起こった火災を発端に、製薬会社や病院、そして政府や権力へと繋がっていく癒着の連鎖を描くドキュメンタリー映画。命よりも利益や効率が優先された果てに起こった、国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それと対峙する市民やジャーナリストたちの姿を追いかける。
監督を務めたのは、世界各国の映画祭で上映された『トトとふたりの姉』のアレクサンダー・ナナウ。地道な調査報道を続けるジャーナリストを追う前半から一転、映画の後半では熱い使命を胸に就任した新大臣を追い、異なる立場から大事件に立ち向かう人々を捉えていく。映画評論家の町山智浩は「間違った医療政策で人々が亡くなる。それは日本でも起こった。ただ『コレクティブ 国家の嘘』に感動するのは、新聞記者と大臣が事実を追及するからだ。それは日本では起こっていない」と評している。
あわせて公開された予告編は、ライブ中に演出の花火が施設に引火して一瞬で壁を覆いつくすショッキングな場面で幕を開ける。被害者の親たちが投げかける悲痛な叫びや疑問、地道な取材を続けるジャーナリストたちと国の腐敗と対峙する厚生大臣が抱える葛藤などが切り取られていく。(編集部・大内啓輔)