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スカーレット・ヨハンソン、子役から実力派スターへ!『ブラック・ウィドウ』までの約30年

現在と子役時代のスカーレット・ヨハンソン
現在と子役時代のスカーレット・ヨハンソン - Karwai Tang / Ron Galella/Ron Galella Collection via Getty Images

 スカーレット・ヨハンソンが、キャリアの新たな節目を迎えている。今月8日に公開される『ブラック・ウィドウ』で、11年間演じてきたナターシャ・ロマノフ役に別れを告げるのだ。子役でデビューし、映画はもちろん舞台でも活躍、歌手としてアルバムもリリースしてきた彼女の、ここまでの道のりを振り返ってみよう。(文:猿渡由紀)

【画像20枚】圧巻の曲線美!スカーレット・ヨハンソン

 ヨハンソンは1984年、ニューヨーク生まれ。幼い頃から演技に興味を持ち、8歳の時にオフブロードウェイ劇「Sophistry」に出演した。映画デビューはロブ・ライナー監督の『ノース/ちいさな旅人』(1994)。続く『モンタナの風に抱かれて』(1998)、『ゴーストワールド』(2001)で批評家に注目され、2003年、『ロスト・イン・トランスレーション』と『真珠の耳飾りの少女』で注目の人となる。この時、彼女はまだ18歳だ。

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 その後も『ママの遺したラヴソング』(2004)、『理想の女(ひと)』(2004)などインディーズ映画で活躍し、ついに2005年、マイケル・ベイ監督の『アイランド』でメジャースタジオの超大作に主演。だが、1億2,600万ドル(139億円)をかけたこのSFアクションスリラーの北米興業収入は、わずか3,500万ドル(約39億円)と大コケの結果に。さらに、プロデューサーから「失敗の理由はヨハンソンと共演のユアン・マクレガーのスター性のなさとヨハンソンの演技力の無さだ」とまで言われるなど、散々な思いをさせられた。(数字は Box Office Mojo調べ、1ドル110円計算)

 一方で、その同じ年にカンヌ国際映画祭でプレミア上映されたウディ・アレン監督の『マッチポイント』は、大成功。実は当初、この役はケイト・ウィンスレットが演じるはずだったのだが、彼女の個人的事情で降板することになり、代わりにヨハンソンに白羽の矢が立ったものだ。ヨハンソンになったことで、キャラクターもイギリス人からアメリカ人に書き変えられたのである。アレンはヨハンソンにすっかり魅了され、続く『タロットカード殺人事件』(2006)、『それでも恋するバルセロナ』(2008)にもヨハンソンを起用。彼女は“ウディ・アレンの新たなミューズ”とも呼ばれるようになった。彼女もアレンのことを敬愛しており、「#MeToo」でアレンの過去の養女虐待疑惑が再浮上して多くの俳優たちが「アレンの映画に出たことを後悔する」と発言するようになっても、アレンの味方をやめていない。

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ブラック・ウィドウ
ブラック・ウィドウ初登場は2010年の『アイアンマン2』 - Paramount Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

 その“ウディ・アレン時代”の次に、“MCU時代”が始まる。そして彼女は、『アイアンマン2』(2010)で初登場したブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフの役も、別の女優が降板したせいでもらっているのだ。先に決まっていたのはエミリー・ブラントだったのだが、『プラダを着た悪魔』(2006)でブレイクしたブラントは当時、フォックスと複数作品出演契約を結んでいて、泣く泣く『ガリバー旅行記』(2010)に出なければいけなくなったのである。その後もブラントは売れっ子女優として着実なキャリアを築いてきたし、今でこそ気にしていないかもしれないが、当時はきっと悔しかったことだろう。

 『アイアンマン2』以後、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)でナターシャが死ぬまで、ヨハンソンはMCU映画に7本出演。それ以外にも『LUCY/ルーシー』(2014)、『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017)などでアクションスターぶりを発揮した。その傍ら、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013)、『her/世界でひとつの彼女』(2013)など、低予算の個性的な作品にも出演している。2019年にはシリアスな中にもユーモアが混じる『マリッジ・ストーリー』と『ジョジョ・ラビット』での演技が高く評価され、キャリア初のオスカー候補入り。しかも、主演女優部門(『マリッジ~』)、助演女優部門(『ジョジョ~』)のダブルノミネートだった。MCUを卒業し、スケジュールに余裕が出てくるこれから先は、演技の幅を見せられる、このような作品に力を入れていくのではないだろうか。

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 彼女の活動の場所は映画に限らない。2010年にはブロードウェイ劇「橋からの眺め」に出演し、トニー賞を受賞している。また2008年には歌手としてデビューアルバム「Anywhere I Lay My Head」をリリースした。「仕事でいろんなことに挑戦してきた。ブロードウェイなり、歌なり。自分にできるかどうかわからないことに挑み、乗り越えてみせたということが、わたしの人生では何度かある。それはマイルストーンになったと思うし、自分が最も輝いた瞬間だったんじゃないかなと思うわ。それはこれからも続いて行くの」とヨハンソンは筆者とのインタビューで語っている。アルバムの評価は分かれたし、映画も必ずしも毎回成功するわけではないが、いちいち気にしないことも覚えたとヨハンソン。「わたしはとても長いこと、この仕事をしてきた。この業界では、常に拒否をされるもの。そんな中でわたしは育ってきたの。メディアで言われていることには、耳を傾けないようにしている。それがプラスになるとは思えないから。長くやってきたことで、何が大事なのかがわかっているし、自信もできたし、正しい視点を持つことができるようになったのよ」

 そんな彼女の原動力は、現在6歳のローズちゃん。2番目の夫ロマン・ドリアックとの間に生まれたこの一人娘に、夢を追いかける姿、リスクを恐れない姿を見せたいのだとヨハンソンは言う。そのローズちゃんには、最近、もう一人の優しいパパができた。コロナ禍の昨年秋、ヨハンソンは静かにコリン・ジョストと結婚式を挙げたのだ。「サタデー・ナイト・ライブ」にレギュラー出演するコメディアンでコメディライターのジョストは、優しい笑顔が魅力のナイスガイ。現在39歳でこれが初婚のジョストと36歳のヨハンソンは、ローズちゃんに弟か妹を与えてあげようと思っているかもしれない。ヨハンソンが現在制作中なのは声の出演をする『SING/シング』続編のみだし、家族と過ごす時間はたっぷりある。私生活でも新たな局面を迎えたヨハンソン。ブラック・ウィドウ後の人生は、あらゆる可能性に満ちているのだ。

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