『竜とそばかすの姫』カンヌで約14分間のスタンディングオベーション!
第74回カンヌ国際映画祭
フランス現地時間15日、第74回カンヌ国際映画祭でカンヌ・プルミエール部門に選出された細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』(英題:『BELLE』)が公式上映され、約14分間のスタンディングオベーションを受けた。
カンヌ・プルミエール部門は、今回の同映画祭で新設された部門。コンペティション、ある視点などの部門があるカンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクションにて、これまでの作品が高く評価されている監督達の注目すべき新作を集めた部門となる。
2018年に公開された『未来のミライ』(英題:『MIRAI』)が第71回カンヌ国際映画祭期間中に開催された「監督週間」に選出され、現地での上映以来、3年ぶり2度目のカンヌ訪問となる細田監督。タキシードに身を包み、上映会が行われる映画祭メイン会場の前に敷かれたレッドカーペットに登場した際には、緊張した面持ちながらも華やかな映画祭を目の当たりにし、笑顔で手を振るなど楽しんでいる様子も伺えた。
ワールドプレミアでもある公式上映には、10代からシニア層まで劇場を埋め尽くす約1,000人の観客が来場。細田監督が入場すると上映前にも関わらず大きな歓声と拍手が起こり、会場に集まった大勢の映画人にリスペクトをもって迎えられた。
上映終了後は、場内に明かりが灯るよりも早く、割れんばかりの拍手が巻き起こり、1階席のみならず2階席含め場内の観客は総立ち。場内の人が細田監督の座る中央の席を見ると、まさに感無量といった顔をした細田監督がゆっくりと立ち上がり、一緒に鑑賞していたスタッフらと固い握手やハグを交わした。
そして、その人柄を表すように前方、後方、左右にと、会場の人々に手を振り深々とお辞儀をする細田監督。大きな劇場全体に鳴り響く温かい拍手と歓声は約14分間も続き、予定にはなかった監督からの上映後の挨拶も急きょ行われ「気持ちのこもった拍手を本当にありがとうございます」と集まった観客に感謝を伝えた。
『竜とそばかすの姫』は、母親の死により心に大きな傷を抱えた17歳の女子高生が、“もうひとつの現実”と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界「U」で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとするストーリー。主人公すず/ベル役の二役を務め、作品の要とも言える「歌」を担う大役に抜擢されたのはミュージシャンの中村佳穂。すずを取り囲むメンバーに成田凌、染谷将太、玉城ティナ、幾田りら、役所広司。さらに「竜」役の佐藤健と多彩で豪華なキャストが集結している。本日16日より全国公開中。(清水一)
細田守監督の上映直後のコメント
こんなにみなさんから拍手をもらえるとは思ってなくてビックリしました。世界で初めてお客さんに観てもらい、さらに拍手もいただいて本当にほっとしました。今作はカンヌ映画祭の中でも特殊な作品だと思いますが、映画を愛する人が集まるこの場所で支持してもらえたことは、すごく励みになりますし、力になります。この作品は幸せですね。いよいよ日本でも本作が公開となりますが、カンヌでご覧になった人達と同じような気持ちを共有して欲しいです。コロナ禍で大変だと思いますが、感染対策をしながら、ぜひ映画館でこの作品を楽しんで欲しいです。