フランソワ・オゾン監督、新作に『マイ・プライベート・アイダホ』『ラ・ブーム』からの影響
『スイミング・プール』『危険なプロット』などのフランスの鬼才フランソワ・オゾン監督が、10代の少年たちのはかなくも美しい恋を描く『Summer of 85』(8月20日公開)。本作の制作において、オゾン監督が影響を受けた小説や映画のタイトルを明かした。
【写真】リヴァー・フェニックスが美しい『 マイ・プライベート・アイダホ』
本作は、英作家エイダン・チェンバーズが1982年に発表した青春小説「おれの墓で踊れ」を原作にしたラブストーリー。1985年の夏、北フランスの海辺の町を舞台に、運命的な出会いを果たした16歳のアレックスと18歳のダヴィドの生涯忘れられない6週間の青春を追う。監督自らオーディションで抜擢したフェリックス・ルフェーヴルとバンジャマン・ヴォワザンが、初恋に溺れる無垢な少年をそれぞれ演じている。
オゾン監督は17歳のころに小説と出会って以来、映画化を夢見ていたという。本作の映画化にあたり影響を受けた作品としてJ・D・サリンジャーの1951年の小説「ライ麦畑でつかまえて」のほか、『スタンド・バイ・ミー』(1987)、『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)、『グリース』(1978)、『ラ・ブーム』(1980)、『おもいでの夏』(1971)の5本の映画を挙げ、以下のように意図を語っている。
「主人公のアレックスのキャラクターは、『ライ麦畑でつかまえて』のホールデン・コーフィールドからインスピレーションを得ています。自分を語るティーンエイジャー。また、愛と性への目覚めという側面は『おもいでの夏』から。その他、とてもメランコリックな美しい友情の物語『スタンド・バイ・ミー』、演じることを恐れないスター俳優たちが織りなす、感情を揺さぶるラブストーリー『マイ・プライベート・アイダホ』、ティーンエイジャーが主人公の、パワフルでユーモアがある『グリース』も、本作に良いインスピレーションを与えてくれています。また、80年代に大ヒットしたフランスのティーン・ムービー『ラ・ブーム』は、90年代生まれの彼ら(フェリックス、バンジャマン)がこの時代を発見するために重要でした。アレックスらがディスコでウォークマンを持っているシーンは、この映画からヒントを得ています」
オゾン監督は「10代で初めて感じるパッション、どうしても湧き上がる感情を綴った、世代や時代を問わない愛の物語」と語る原作者・チェンバーズの想いを忠実に汲み、「(本作は)少年2人の恋愛に皮肉を一切加えず、世界共通のラブストーリーにした」という。(編集部・石井百合子)