湯浅政明監督『犬王』アヴちゃん&森山未來が主演声優!特報映像も公開
映画『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』などの湯浅政明監督による劇場アニメーション映画『犬王』のメインキャストが発表され、ロックバンド「女王蜂」のボーカルであるアヴちゃんと、俳優の森山未來が主演声優として参加することが明らかになった。あわせて、当初の2021年公開予定から変更し、2022年初夏に上映時期が決定したことも発表された。
本作は、湯浅監督をはじめ、松本大洋(キャラクター原案)と野木亜紀子(脚本)といったクリエイターがタッグを組み、室町の知られざるポップスター犬王から生まれた物語を描くミュージカル・アニメーション。小説家・古川日出男の「平家物語 犬王の巻」を原作に、室町時代に人々を熱狂させた実在の能楽師・犬王と、そのバディである琵琶法師・友魚の友情が描き出される。
世界最古の舞台芸術である能楽の世界でスターダムに駆け上がり、友情を紡ぐ能楽師・犬王の声を担当するアヴちゃんは、アニメ「DEVILMAN crybaby」以来の湯浅作品参加。琵琶法師・友魚を演じる森山は『聖☆おにいさん』以来、2度目のアニメ声優出演で、湯浅作品へは初参加となる。公私ともに仲がよいという二人の共演は、映画『モテキ』以来10年ぶりとなる。
また、音楽を大友良英が担当することが発表され、その一部を聞くことのできる特報映像が公開。室町時代の京都を舞台に、湯浅監督の想像力が発揮された躍動感あふれるアニメーションで犬王と友魚が描かれている。そこに犬王の歌声が重なり、二人がファンタジックに宙に舞い上がるシーンをきっかけに音楽は一転してリズミカルに。能楽のイメージに囚われない、音楽フェスにも見えるシーンが畳みかけるように続いていく。そして友魚の「お前をなんと呼べばいい!」、犬王の「実はもう決めてある!」というセリフに続いて『犬王』の文字が現れるという、物語の全貌に期待を高める仕上がりとなっている。
さらに、9月1日から11日にかけて開催の第78回ベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出されたことも発表。先鋭的な映画を発掘し、世界の新しい潮流を紹介するために2004年に新設された同部門に、日本の2D長編アニメーションが選出されるのは初めて。他部門を含めても、2013年の『風立ちぬ』(第70回のメインコンペティション部門)以来8年ぶりの快挙で、フル3DCGアニメーションをあわせると 2016年の『GANTZ:O』(第73回のアウト・オブ・コンペティション部門)以来5年ぶり。同映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。
選出の知らせを受けた湯浅監督は「室町時代にロックな演奏で歌唱で舞で、自分の生き方を貫き、宿命的な奈落から駆け上がって行った二人。映画は見てるだけで胸が熱く、あがるものになるはずです」と熱い思いを語っている。(編集部・大内啓輔)
コメント
・アヴちゃん(女王蜂):犬王役
普段女王として生きているわたしが、今回「王」として生きる機会をいただきました。『犬王』。真っすぐに、運命の映画だと言い切ることができます。ああ! 来年をおたのしみに!
・森山未來:友魚役
現存する能楽が確立される前なのだから自由な発想で演じられていい、という考えのもとに湯浅監督が生み出したぶっ飛び能楽アニメーション『犬王』。琵琶法師、友魚として、これまたぶっ飛んだアヴちゃん演じる、艶やかな犬王に寄り添う。必然、ジェットコースターのような現場でした。世界最古のミュージカルと言われる「能楽」の豊かな可能性を感じられる映画になっているのではないでしょうか。
・大友良英:音楽
正直に書きます。湯浅監督の具体的なのか抽象的なのかさっぱりわからない無茶苦茶な注文と、素人目には何が描かれているか皆目検討がつかないスケッチ段階の動画に翻弄されまくった3年間でした。でもただ翻弄され続けただけならとっくにやめてます。絵が立ち現れ歌や音ともに動き出したときの興奮と感動をいったい何度味わったことか。気づくと自分も『犬王』の世界にすっかり没入していました。とんでもない作品です。大傑作です!
・湯浅政明監督
二人の物語が多くの人に知られるとうれしい。室町時代にロックな演奏で歌唱で舞で、自分の生き方を貫き、宿命的な奈落から駆け上がって行った二人。映画は見てるだけで胸が熱く、あがるものになるはずです。オーパーツは至る所にあったはず。我々は多くの物語を知らなすぎる。彼らが認められ、称賛されることは、どの時代をも真直に生きる者たちが報われることだ。