『17歳の瞳に映る世界』いとこ役タリア・ライダーは、スピルバーグの大作を控える注目株
ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞、米映画レビューサイト Rotten Tomatoes では99%の高評価を受けた『17歳の瞳に映る世界』が公開中。本作で、主人公のいとこを可憐に演じたタリア・ライダーは、今後スティーヴン・スピルバーグによるリメイク版『ウエスト・サイド・ストーリー』も控える人気急上昇中の新星だ。
『17歳の瞳に映る世界』は、予期せぬ妊娠をした17歳のオータムが、いとこであり親友でもあるスカイラーと共に、両親の同意が不要な中絶手術をするためにペンシルベニアからニューヨークへ向かう数日間の物語。メガホンをとったのはNetflixオリジナルシリーズ「13の理由(シーズン2)」(2018)の監督の一人として名を連ねるイライザ・ヒットマン。若さゆえに続発する道中のトラブルをかろうじてやり過ごそうとする少女たちの旅をドキュメンタリータッチで描く一方、日常的にセクハラにさらされる少女たちの受難を浮き彫りにする。
主人公オータムを演じるシドニー・フラニガンは、本作が初演技にして映画初出演。シンガーソングライターとしても活躍する彼女は、劇中でも切ない歌唱シーンを披露し、NY批評家協会賞女優賞など数々の映画賞に輝いているが、オータムの唯一の救いとなるスカイラーを演じるのが、タリア・ライダーだ。
タリアは、2002年8月16日、ニューヨーク州バッファロー生まれの18歳。12歳の時にブロードウェイミュージカル「マチルダ」に出演。今年12月に公開を控える『ウエスト・サイド・ストーリー』(12月10日公開予定)では、ブロードウェイの常連や著名俳優と共に、ジェッツ(白人グループ)のコーラスを務めている。そのほか、マリアマ・ディアロ監督が、白人の集うニューイングランドの大学に通うアフリカ系アメリカ人女性たちの体験を描く『マスター(原題)/Master』、マイケル・ルーウェン監督の恋愛ドラマ『ハローグッバイ、アンド・エブリシング・イン・ビトウィーン(原題)/Hello, Goodbye and Everything in Between』、ジェニファー・ケイティン・ロビンソン監督のコメディー『ストレンジャーズ(原題)/Strangers』などが待機中。
英国版「VOGUE」では、「2021年ハリウッドの新時代をリードする6人の俳優」に選出。振付師ミア・マイケルズがメガホンを取り、ダンスによって社会正義を訴えた2018年の短編映画では、15歳にしてエグゼクティブ・プロデューサーを務めている。
タリアはスカイラー役について「とても賢い女の子」と紹介。アルバイト先のスーパーでは客にしつこくパーティーに誘われ、店員に手を握られ、道中でも屈辱的な体験をすることになるスカイラーは、オータムと共に女性としての生きにくさを物語る存在。多くを語らないスカイラーだが、タリアは彼女について「世界には不公平があること、男の子と女の子の違いもある。あの年で、自分に若い女子としての魅力があることも気づいている」と分析。なお、シドニーとタリアは同じバッファローの出身。監督は2人の絆を深めるために宿題を出し、映画で描かれる旅とセリフと、プライベートに関する個人的な性格を表す質問に対して答えをノートに書き、それを翌日に交換し合うことで距離を縮めたという。(編集部・石井百合子)