柳楽優弥が平和への思いを明かす「忘れることが一番怖い」

　俳優の柳楽優弥が6日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた『映画　太陽の子』の初日舞台あいさつに出席し、平和への熱い思いを語った。舞台あいさつには共演者の有村架純と黒崎博監督も登壇した。

柳楽優弥＆有村架純が三浦春馬さんの思い出を語る『映画　太陽の子』舞台あいさつの様子【写真】

　本作は、昨年8月にNHKで放送されたドラマ「太陽の子 GIFT OF FIRE」に異なる視点を加えて描かれる青春群像劇。太平洋戦争末期に「F研究所」と呼ばれ、日本の原爆開発に取り組んだ京都の大学生たちの姿が描かれる。

　広島に原爆が投下されてから76年の月日が経ったこの日、 封切りの日を迎えた本作。原爆研究に携わった京都帝国大学の若き研究者・石村修を演じた柳楽は「こういう状況のなか、来ていただいたことに感謝します」と劇場に足を運んだ観客に頭を下げる。

　続けて「今日、広島で行われた式典で小学生が『別れるということは、出会えなくなるのではなく、忘れてしまうこと』というスピーチをしていたのが印象的でした。人に対しても歴史に対しても、忘れてしまうことが一番怖いと思います」と述べ、「こういう映画を通して、みなさんに当時の出来事を伝えられたことが大きい。それが平和への第一歩になるのかなと思います」と熱い胸の内を明かした。

　本作で、柳楽演じる修の弟・裕之を演じた三浦春馬さん、修と裕之が思いを寄せる朝倉世津にふんしした有村。3人での印象的なシーンは数多く登場するが、柳楽は「たくさん思い出がありすぎますね」と笑うと「なかでも川沿いで僕と春馬くんが走るシーンでは、彼の体力がすごすぎて、なかなかついていけなかった」というエピソードを披露する。

　有村はそんな柳楽について「ご自身が能動的にやらなくても周囲がどんどん魅力に引き付けられ、吸い込まれていくような方」と表現。三浦さんに対しては「いろいろな個性のある人たちの空気をすべて調合して、また新しいものを作ってくれる。春馬さんはどこにいても、みんなが気持ちよくいられるような空気を作ってくれる役者さんでした」と撮影を振り返った。

　黒崎監督は「コメントするのが難しいですが」と前置きしつつ「正直申しますと、なんでここに春馬くんがいないんだと思います。悔しすぎます」と心情と吐露。それでも「観ていたみなさんなら感じていただけたと思いますが、スクリーンには一緒に走り切った姿が映っています。柳楽くん、有村さん、春馬くんはもちろん、そのほかのキャストやスタッフが言いたいことは、どんな難しい状況でも、生きて、生きて、生き抜くしかないというメッセージ。それが届いてくれたらうれしいです」と思いを語っていた。（磯部正和）