杉咲花、朝ドラを終えた今だから感じる女優としての変化
杉咲花が、NHKの連続テレビ小説「おちょやん」を終えた今だから感じている女優としての変化、そして謎の妖怪剣士・狐面の女(きつねめんのおんな)役で出演する映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』への思いを語った。
杉咲花が美しい妖怪に!映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』【写真】
1968年からの三部作、そして神木隆之介主演となる2005年公開の平成版など、多くの観客に愛されてきた映画『妖怪大戦争』シリーズ。その令和版となる最新作『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は、妖怪ハンターの血を引く主人公が、世界の存亡をかけたバトルに身を投じる冒険ファンタジーだ。
この人気シリーズについて「ちょうどわたしも(平成版の)『妖怪大戦争』を観ていた世代なので。母と一緒に映画館に行って、パンフレットを買ってもらったことを覚えています」と懐かしむ杉咲。幼いころに観ていた作品世界に入り込むこととなり、「とても楽しみでした。いち視聴者として、どんな作品になるのかな、とワクワクする気持ちもありつつ、まさかそこに自分が妖怪役として出演できるとは思いませんでした」と笑顔を見せる。
杉咲が演じるのは、寺田心演じる主人公・ケイを導く狐面の女。その素顔や能力は狐のお面に隠されており、そのたたずまいは非常にミステリアスだ。「お面を付けると視野が狭くなって。普段の3分の1くらいしか見えなくなってしまうのですが、それによって集中力が研ぎ澄まされていくような感覚になりました」と述懐。狐面の女のコートには九尾の狐がデザインに組み込まれており、さらにコーンロウをモチーフとしたヘアスタイルはエクステに銀、白、赤、白の毛がミックスされているものだが、「実際に着ると本当に重くて。アクションは苦戦しました」と明かすなど、苦労した点も多かったようだ。
三池崇史監督とは、『無限の住人』(2017)以来のタッグとなった。「三池監督にもう一度呼んでいただけたことがすごく嬉しかった」という杉咲は、「当時はまだ18歳で。映画の中で大切な役割のキャラクターをやらせていただくという貴重な経験でしたし、思い入れが深い作品だったんです。その後、いろいろな現場で学ばせていただいた中で、今回、少しでも成長した姿を見てもらえるように頑張ろう、という思いがありました」という。
そんな三池監督との撮影現場を「現場で何度もディスカッションを重ねるというよりは、必要最低限のやりとりで粛々と撮影が行われていくという感じでした」と振り返る杉咲だが、「この作品のCGを手がけた太田垣(香織)さんから個人的に連絡をとっていた時に、『三池監督が、杉咲は俳優としても女性としても成長していた、と言ってたよ』と教えてくださって。それはとてもうれしかったです」と喜ぶ。
くしくも今年5月に、杉咲が主演を務めたNHK朝の連続テレビ小説「おちょやん」が最終回を迎えた(ただし順番としては本作の撮影の方が先)。およそ1年近くにわたる朝ドラの撮影を終えた現在の心境を「考えが前よりもシンプルになった感じがあります」と切り出した杉咲は、「いままでは自分が想像できる範囲内でアンテナを張り巡らせていたような感覚があったのですが、今はもっと、目の前にいる人、目の前にあることだけに集中して。その時間に感じられたことがすべてになったというか。自分が楽しさを感じたり、課題と向き合う環境がある、ということに今まで以上に喜びを感じるようになりました」と心境の変化を明かす。
しかしそれは「やはり朝ドラの撮影期間が長かったからこそ、その役のことを理解できたり、表現の可能性が広がっていった」という思いもあるようで、「普通のドラマだったらそれを3か月、4か月の中でやりきらなければいけない。それよりも短い期間で撮りきる現場だってあるわけで。だから、その期間の中でどれだけ表現しきれるのか、というのは課題というか、今後の新たな戦いになってくるのかなと」と冷静に分析する杉咲。「もともとわたしは本番前の緊張感やプレッシャーに押しつぶされそうになってしまうタイプなんですが、なんだか最近は妙な心地よさを感じるようになってきた感覚があって。(1年の朝ドラを通じて)緊張との向き合い方が、少しずつわかってきたのかなと思っています」とまっすぐなまなざしで答えていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は公開中