『G.I.ジョー』新作は日本で撮りたかった!プロデューサーが目指す文化の融合
映画『G.I.ジョー』シリーズ最新作『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』(10月22日全国公開)のプロデューサーを務めるロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラが、コロナ禍前の2020年2月に茨城県のロケ施設で取材に応じ、撮影の裏話や本作で目指す日本文化と西洋文化の融合について語った。
【動画】日本の名所で撮影!『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』予告編
2009年に1作目、2013年に2作目が公開された『G.I.ジョー』シリーズ。約8年ぶりとなる新作では、秘密忍者組織「嵐影」への入門を許可されたスネークアイズが、悪の抜け忍集団とG.I.ジョーの宿敵であるコブラの連合軍との戦いに挑む。
映画の主な舞台が日本ということから、カナダ・バンクーバーでの撮影に加えて、日本の姫路・大阪・茨城で大規模ロケを実施。取材会が開かれた茨城のワープステーション江戸では、嵐影の本拠地で展開するファイトシーンが撮影され、忍者が屋根の上を駆け抜けたり、ワイヤーを使っての空中アクションも繰り広げられた。
「脚本は(日本撮影決定の前に)全て出来上がっていて、日本で撮る前提で、どうか許可が出ますように、と願っていました」と切り出したロレンツォ。日本ロケに関して、米パラマウント関係者からは疑問の声も上がったそうで、ロレンツォは「この作品はどうしても日本で撮る必要がある」と関係者を説き伏せた。「パラマウント本社のスタッフも、毎日ラッシュ映像を見ているので、日本ロケがいかに素晴らしい出来栄えかを目の当たりにしています。今では完全に納得して、『日本じゃないと撮影できなかった』と思ってくれています」
製作陣が本作で目指したのは、日本文化と西洋文化の完璧な融合だ。「スネークアイズが日本の嵐影一門に入るストーリーで、双方の文化をうまくミックスしようというのが我々の目標です」と語るロレンツォは、ストーリーのみならず、撮影現場でも文化の融合が起こったことに手応えを感じていた。「カナダでの撮影は、スタッフ全体の約25%が日本人で、75%がアメリカ人でした。しかし、日本に来るとその比率が逆転して、今ではスタッフ&キャストの75%が日本人です。何かある毎にフォローやサポートをしてくださるので、日本に来てからの撮影はとてもスムーズに進行しています」
また、アクション監督に『るろうに剣心』シリーズで知られる谷垣健治を起用したことで、日本の伝統的なアクションを取り込むことに成功。「(谷垣と)いつか一緒に仕事をしてみたかった」と告白したロレンツォは、谷垣が演出するアクションの数々に大興奮したそうだ。「健治はいつも『スタントマンが要る。スタントマンがもっと要る』と言い続けていて、こちらが『このシーンのスタントマンは10人ぐらいでいいだろう』と思っても、『25人必要です』と返答するんです。そうやって撮影したシーンは、一人に対して25人近くの敵が襲い掛かる時代劇のような迫力があり、ハリウッド映画としては非常に斬新なんです」
スネークアイズの知られざる過去が明かされる本作。ロレンツォは、「マスクをしていないスネークアイズも見れますし、言葉も喋ります。見た目がカッコいいという理由でスネークアイズを好きになってくれていたファンもいますが、今回はキャラクターとして非常に感情移入できて、共感しやすくなっていると思います」と自信をのぞかせた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)